音楽

JACK WHITEを魅了したESTHER ROSEの歌声

Estherrose

 
 
カレン・エルソン、オリヴィア・ジーン、マーゴ・プライス、リリー・メイ、そしてエスター・ローズ。
 
彼女たちの共通点は?
 
ジャック・ホワイトの話題の新作『Boarding House Reach』を聴きながら、ソウル・バラードの「What’s Done Is Done」でジャックとデュエットしている女性シンガーは誰だろうと思って、ブックレットをチェックしみたら、「Esther Rose: Backing Vocals」とあってちょっとびっくりした。
 
 
Jackwhiteband_2 左から3人目がエスター
 
 
エスターとジャック。2人はいつどこで、どうつながったんだろう?
 
エスター・ローズはニューオーリンズを拠点としているシンガー・ソングライター。
 
僕が彼女の存在を知ったのは、ニューオーリンズのシンガー・ソングライター/ギタリスト、ルーク・ウィンズロウ・キングが13年にリリースした『The Coming Tide』というアルバムだった。
 
ブルース、オールドタイミーなジャズ、フォーク、ロックンロールが渾然一体となったそのアルバムでヴォーカルとウォッシュボードを担当していた彼女の名前は、アルバムのジャケットにも「featuring ESTHER ROSE」としっかりクレジットされ、彼女に対するルークの信頼の大きさが窺えた。
 
翌14年、ルークがリリースした『Everlasting Arms』というアルバムでエスターはルークとともにアルバム・カヴァーに登場。「ESTHER ROSE KING」というクレジットが公私にわたるパートナーとなった2人の蜜月を物語っていた。
 
しかし、蜜月はそれほど長くは続かず、2人は離婚。ルークが16年9月にリリースした『I’m Glad Trouble Don’t Last Always』は、エスターへの未練を歌ったブルージーなアルバムだった。
 
その後、エスター・ローズ名義でソロ活動を始めた彼女はデズロンズ、ハレイ・フォー・ザ・リフ・ラフ、ポーキー・ラファージらとステージに立ちながら、17年6月に1stソロ・アルバム『This Time Last Night』をリリース。デズロンズのキャメロン・スナイダー(Dr)ら、ニューオーリンズのカントリー・シーンのミュージシャンたちとレコーディングしたそのアルバムは、人生に躓いた時に学んだことや一つ一つの障害を乗り越えてきた彼女の経験の記録なんだそうだ(ルークのアルバムとは正反対と言える内容がなんとも)。
 
 
Esterrosejkt This Time Last Night
 
 
カントリーを基調としながら、オールドタイミーなジャズやR&Bの影響が入り混じるところがいい。そこがニューオーリンズ、いや、エスター・ローズならではなのだろう。気取りのない奔放な歌声も魅力的だ。
 
 
 
 
 
結局、ジャックのアルバムに参加した経緯はわからないままだが、エスターの存在が多くの人に知られるきっかけになったらうれしい。
 
カレン・エルソン、オリヴィア・ジーン、マーゴ・プライス、リリー・メイ――ジャックに見出され、彼のレーベル、サード・マンからソロ・デビューした女性アーティストは少なくない。ひょっとしたら、エスターも?!
 
女性を見るジャックの目は知らない。しかし、女性アーティストを見る目は信頼している。
 
 
 
 

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LAST HURRAH 2.0 presents Best 10 albums 2017 ②

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昨年にひきつづき、ルーツ・ロック~アメリカーナをテーマに(でも、そこはゆる~く)2017年のベスト・アルバムを10枚ずつ選んでみたところ、今年もまた、他にはないおもしろいベスト10になりました。その第2弾です。
 
 
 
 
【New West Recordsの活躍が目立つなど、17年も好作続き】
by 山本 尚
 
 
Raydavis
➀ Americana / Ray Davies (Legacy)
 
 
Hurray_2
② The Navigator / Hurray for the Riff Raff (ATO)
 
 
Thesadies
③ Northern Passages / The Sadies (Yep Roc)
 
 
Nikkilane_3
④ Highway Queen / Nikki Lane (New West)
 
 
Joanshelley
⑤ Joan Shelley / Joan Shelley (No Quarter)
 
 
Sonvolt
⑥ Notes of Blue / Son Volt (Transmit Sound)
 
 
Sammybrue
⑦ I Am Nice / Sammy Brue (New West)
 
 
Kacy
⑧ The Siren's Song / Kacy & Clayton (New West)
 
 
Banditos
⑨ Visionland / Banditos (Bloodshot)
 
 
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⑩ Graveyard Whistling / Old 97's (ATO)
 
17年も好作続き! ①はThe Jayhawksがバック・バンドを務め、このタイトル。もちろん期待を裏切らないアルバムでした。これからも長く聴き続けるであろう。
 
②~⑤はライヴも見たけれど、ライヴも最高。特にHurray~とNikkiのステージでの存在感には度肝を抜かれた。
 
Jeff Tweedyプロデュースの⑤と⑧はテイストは違うけれど好作。ギターのフレーズ、音作りにJeffのこだわりを感じ、Wilcoと共に彼のプロデュース作品にも注目していきたい。
 
⑦は新人らしからぬ曲のクオリティーとアレンジで注目。LAST HURRAH 2.0でも紹介されたので、是非、読んでほしい。
 
レーベルで言えば、17年はNew West Recordsの活躍が目立ったな~と。いいアルバムを立て続けに出してくれた。
 
そしてTom Petty含め、17年も悲報が続いたけれどTomの最後のツアーを見られたことは本当に良かった…と思った17年でした。
 
18年はFirst Aid Kitの新作、そしてVan WilliamとPearl Charlesのデビュー・フル・アルバムが楽しみです!
 
 
 
 
 
【“アラバマ・ブーム”の一方でガツンと来るバンドが少なかった】
by 山口 智男
 
 
Caletyson
■ Careless Soul / Cale Tyson (At Last)
 
 
Curtisharding
■ Face Your Fear / Curtis Harding (Anti-)
 
 
Thedeslondes
■ Hurry Home / The Deslondes (New West)
 
 
Dorifreeman
■ Letters Never Read / Dori Freeman (Blue Hens Music)
 
 
Jakebugg
■ Hearts That Strain / Jake Bugg (Virgin)
 
 
Johnmoreland
■ Big Bad Luv / John Moreland (4AD)
 
 
Lilliemae
■ Forever And Then Some / Lillie Mae (Thirdman)
 
 
Michaelchapman
■ 50 / Michael Chapman (Paradise of Bachelors)
 
 
Porter
■ Don't Go baby It's Gonna Get Weird Without You / Porter & The Bluebonnet Rattlesnakes (Cornelius Chapel)
 
 
Robertfinley
■ Goin' Platinum! / Robert Finley (Easy Eye Sound)
(アルファベット順)
 
FAMEスタジオに詣でたCale Tysonをはじめ、振り返ってみれば、17年は“アラバマ産”の作品に惹かれるものが多かった。そんな“アラバマ・ブーム”は、まだまだ続きそうだ。
 
個人的なものとは言え、毎年、何かしらブームが生まれるのは、それだけシーンが盛んということだろう。10枚を選びながら、泣く泣く落とした作品は少なくない。
 
唯一残念だったのは、個人的にガツンと来るバンドが少なかったこと。
 
自分で選んだ10枚を見返して、ソロ・アーティストの作品ばかりが並んでいることに、こんなにバンドが好きなのに…とちょっと唖然。ダントツで良かったThe Deslondesの他は、Lee Bains III +The Glory Firesと、アルバムを2枚、同時リリースして、気を吐いたDeer Tickぐらいか。Dan AuerbachもIan Feliceもソロ名義だった。
 
18年は、もっとバンド勢に、おおっと言わせてもらいたい。
 
 
 
 
 
 
 

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LAST HURRAH 2.0 presents Best 10 albums 2017

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昨年にひきつづき、ルーツ・ロック~アメリカーナをテーマに(でも、そこはゆる~く)2017年のベスト・アルバムを10枚ずつ選んでみたところ、今年もまた、他にはないおもしろいベスト10になりました。
 
 
 
 
【まだまだある。エンドレスで挙げられるほど豊作だった17年】
by 早川 哲也
 
 
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■ After You’ve Gone / Legendary Shack Shakers (Last Chance)
 
 
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■ Tigre-Teigne / Le Skeleton Band (Head)
 
 
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■ Boy In A Well / The Yawpers (Bloodshot)
 
 
Scotthbiram
■ The Bad Testament / Scott H. Biram (Bloodshot)
 
 
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■ Songs Of Love And Death / Me And That Man (Cooking Vinyl)
 
 
Nikkilane
■ Highway Queen / Nikki Lane (New West)
 
 
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■ Sunnyside / Jake La Botz (Hi-Style)
 
 
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■ A Girl Like You / Emanuela Hutter (Emanuela Hutter)
 
 
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■ Gilded / Jade Jackson (Anti-)
 
 
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■ Bad Hombre / Bob Wayne (People Like You)
 
(順不同)
 
 
昨年同様にアメリカーナ枠内ギリギリなモノも混じっているが、ルーツ系から選んだ10枚。
 
他にEarle親子それぞれの新作、The Sadies、Coco Hames、Bash & Pop、JD Mcpherson、Dan Auerbach、Kitty, Daisy & Lewis、Lillie Mae、Margo Price、Eric Ambel、Imelda May、Old 97's、The Builders and the Butchers、Guadalupe Plata、Low Cut Connie …。
 
まだまだあるなぁ。振り返れば、ルーツ系は豊作だった17年。
 
18年はLAST HURRAAH 2.0でも取り上げたEasy Eye Sound作品に期待。
 
嗚呼エンドレス…。
 
 
 
 
【平和や平等のために立ち向かい、闘っているような女性の姿に胸を打たれた】
by 堀口 知江(ホリグチ チエ)
 
 
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■ The Bad Testament / Scott H. Biram (Bloodshot)
 
 
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■ Spades and Roses / Caroline Spence (Tone Tree Music)
 
 
Old
■ Graveyard Whistling / Old 97's (ATO)
 
 
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■ After You've Gone / Legendary Shack Shakers (Last Chance)
 
 
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■ Freedom Highway / Rhiannon Giddens (Nonesuch)
 
 
Hurray
■ The Navigator / Hurray for the Riff Raff (ATO)
 
 
Nikkilane_2
■ Highway Queen / Nikki Lane (New West)
 
 
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■ Ivory Castanets / Cat Clyde (Cinematic)
 
 
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■ You Don't Own Me Anymore / The Secret Sisters (New West)
 
 
Unnamed
■ Sidelong / Sarah Shook & the Disarmers (Bloodshot)
(順不同)
 
 
Rhiannon GiddensやHurray for the Riff Raffのように、平和や平等のために立ち向かい、闘っているような女性の姿に胸を打たれました。
 
中でもRhiannon Giddensの「You can take my body, you can take my bones / You can take my blood but not my soul」というフレーズは印象的で、いまの米国社会の動きを象徴しているように感じ取りました。
 
女性アーティストが多くなってしまいましたが、Justin Townes EarleやSammy Brue、Dan Auerbachも良かったです。あとLillie Maeも!
 
18年はRuby BootsやJD Wilkesのリリースが楽しみです!
 
 
 
 

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2018年はこれを聴く! DAN AUERBACHと彼のレーベル、EASY EYE SOUNDの新展開に注目!

Danauerbach

 
 
ミュージシャンとして活躍するかたわら、いつ休んでいるの?!と不思議になるくらいプロデューサー業、スタジオ経営にも精を出すダン・オーバックがそれだけでは飽き足らないと言わんばかりに今度は、所属レーベルであるノンサッチで自分のレーベルを始めてしまった。
 
レーベル名は、ナッシュビルにある彼のスタジオの名前と同じEasy Eye Sound。ここを拠点に自分がかっこいいと思う音楽を送り出していこうと考えているのだろう。
 
レーベルとしてのEasy Eye Soundのリリース第1弾は、今年6月にリリースした自身のソロ・アルバム『Waiting On A Song』(EES-001)。
 
 
 
Danauerbach_2 Waiting On A Song / Dan Auerbach
 
 
 
 
 
それから6か月、12月8日には昨年、63歳でミシシッピのレーベル、Big Legal Messから『Age Don't Mean A Thing』でデビューしたブルース/R&Bのシンガー・ソングライター/ギタリスト、ロバート・フィンリーによる2作目のアルバム『Goin' Platinum!』(EES-002)を、ダン自らのプロデュースでリリースした。
 
 
Robert_finley_goin_platinum_ees_0 Goin' Platinum! / Robert Finley
 
 
これが素晴らしい作品だった。
 
ダンはロバートの歌をもっと多くの人に聴いてほしいと考えたのだろう。Big Legal Messのヘッドであるブルース・ワトソンとジンボ・マサスがプロデュースした前作のサザン・ソウル路線を受け継いだうえで、新たに女性コーラスを巧みに使ったキャッチーなアレジを加え、彼の歌をより多くのリスナーにアピールできるものにしたのは、まちがいなくダンの手腕だ。
 
 
 
 
正直、ダンのプロデュースワークは、ハマる時とハマらない時があると思うのだが、『Goin' Platinum!』は見事にハマった。ダンのソロ同様にポジティヴなヴァイブに満ち溢れているようなところもいい。
 
Easy Eye Soundの今後のリリースががぜん楽しみになってきた。
 
すでにEasy Eye Soundのウェブサイトでは、シャノン&ザ・クラムスの『Onion』、ソニー・スミスの『Rod For Your Love』という2月、3月のリリースが発表されている(その後、4月にはリンク・レイの未発表曲「Son of Rumble (/Whole Lotta Talking)」を7インチ・シングルとしてリリースする)。
 
 
 
Shannonandtheclamsonion1200_2 Onion / Shannon & The Clams
 
 
Sonny_smith_rod_for_your_love_0c260 Rod For Your Love / Sonny Smith
 
 
シャノン&ザ・クラムスは、オールディーズな魅力もあるオークランドのガレージ・パンク4人組。『Onion』はすでに8年ほどの活動歴を持つ彼らの5作目のアルバムとなる。
 
 
 
 
ソニー・スミスは、サンフランシスコのシンガー・ソングライター。その活動は90年代の半ばまで遡ることができるらしい。07年にはサンフランシスコのインディー・シーンのミュージシャン達とローファイ・ガレージ・バンド、ソニー&ザ・サンセッツを組んで、多くの作品をリリースしてきた。
 
 
 
 
『Onion』『Rod For Your Love』ともにダンによるプロデュース。
 
ベイエリアのインディー~ガレージ・シーンに急接近した新たなコネクションが興味深い。
 
それが今後、どんな活動につながるのか、ジャック・ホワイトのサード・マンに負けないものになるのかという興味も含め、ダンとEasy Eye Soundの動きに注目していきたい。
 
ダンは2月10日のヴァンクーバー公演を皮切りに「Dan Auerbach & the Easy Eye Sound Revue」と銘打ち、ロバート・フィンリー、シャノン&ザ・クラムスらと4月5日のデンヴァー公演まで北米各地をツアーする予定だ。
 
 

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やっと出会えたと思ったら、もうこの世にいなかったなんて、あまりにも寂しすぎるじゃないか。PORTER & THE BLUEBONNET RATTLESNAKESが遺した渾身の1枚

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2016年10月19日、ノース・カロライナ州スミスフィールドにほど近い州間高速道路で3人のミュージシャンを乗せたヴァンが後ろから猛スピードで走ってきた大型トラックに追突されるという大事故が起きた。
 
3人のミュージシャンの内、クリス・ポーター(Vo, G)とミッチェル・ヴァンダーバーグ(B)は絶命。もう一人のアダム・ナーリー(Dr)も一命は取り留めたものの、重傷を負った。
 
前夜、サウス・カロライナ州チャールストンで演奏した3人は、次の公演地であるメリーランド州ボルチモアに向かうところだったという。
 
それから約1年が過ぎた2017年11月、アラバマのインディ・レーベル、コーネリアス・チャペルがリリースしたポーター&ザ・ブルーボネット・ラトルスネークスの『Don’t Go Baby It’s Gonna Get Weird Without You』というアルバムがアメリカン・ロックのファンの間で話題になった。
 
 
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Don't Go Baby It's Gonna Get Weird Without You (Cornelius Chapel)
 
 
その『Don’t Go Baby It’s Gonna Get Weird Without You』はスミスフィールドの追突事故で亡くなったクリス・ポーターが事故に遭う8か月前、腕っこきのミュージシャン達と作り上げた渾身の1枚だったのだ――。
 
80年にアラバマ州ペル・シティーで生まれたクリス・ポーターは、チャンスを掴もうとやってきたアラバマ州最大の都市、バーミングハムで本格的に音楽活動を始めたという。それが02年。それからクリス・ポーター&ザ・ストールン・ローゼズを皮切りにバック・ロウ・バプティスツ、サム・ダーク・ホラーというバンドも結成。バック・ロウ・バプティスツ、サム・ダーク・ホラーでは、それぞれに『Broken Hearts & Bad Decisions』(10年)、『Hollow Chest』(12年)というアルバムもリリースしている。
 
その後、ソロに転じて、13年にはジョン・ポール・ホワイトのレーベル、シングル・ロックに所属しているバンド、ザ・ポリーズとポーター&ザ・ポリーズ名義でデジタル・オンリーのEPをリリース。
 
 
 
 
 
 
そして、14年に新天地を求め、バーミングハムから移り住んだテキサス州オースティンでセントロ・マティックの元メンバー、ウィル・ジョンソンの協力の下、ソロ名義のアルバム『This Red Mountain』をレコーディング。それを15年にリリースしたところ、ポーターの存在はにわかに注目され始め、その追い風を感じながらポーターが再びウィルと組んで作ったのが、『Don’t Go Baby It’s Gonna Get Weird Without You』だったのだ。
 
『This Red Mountain』の反響に手応えを感じたのだろう。『Don’t Go Baby It’s Gonna Get Weird Without You』を作るにあたって、ポーターとウィルはレコーディングのメンバーを一新。“アメリカの実生活のダークで絶望した物語”を歌うポーターの評判を全国区のものにするのにふさわしいミュージシャンを、オースティンのランブル・クリーク・スタジオに招いた。 
 
その顔ぶれは――。 
 
人気急上昇中のシンガー・ソングライター、ジョン・モアランドのサイドマンとしても注目されているシンガー・ソングライター兼マルチプレイヤー、ジョン・カルヴィン・アブニー(ギター、キーボード、アコーディオン、ペダル・スティール他)。新世代サザン・ロックの旗手、ドライヴ・バイ・トラッカーズの元メンバー、ショナ・タッカー(ベース、ハーモニー・ヴォーカル)。ドラムはプロデューサーを務めたウィルが自ら演奏した。
 
アメリカン・ロックを熱心に聴いているリスナーなら、思わず「おおっ」と身を乗り出すにちがいないミュージシャン達が奏でるのは、カントリーやブルース~ブギの影響を滲ませながら、たっぷりと歪みも含んだルーツィーなロック・サウンドだ。
 
00年代前半だったらオルタナ・カントリーと言われていただろう。中にはシンセサイザーも使って、アンビエントなサウンドを意識した曲もある。
 
ザクザク・ギュインギュインと鳴るバンドの演奏、そして、たそがれた味わいとならず者っぽい荒々しさが絶妙に入り混じるポーターの嗄れ声から筆者が連想したのは、ルセロ、ドライヴ・バイ・トラッカーズ、リッチモンド・フォンテーン、ライアン・アダムスら、オルタナ・カントリー・ブームとともに注目されたバンドばかりだった。アルバムを締めくくる「East December」からはリプレイスメンツも思い出した。
 
 
 
 
 
もちろん、新しい音楽とは言えない。むしろ、懐かしいと言ったほうがふさわしいかもしれない。しかし、こういう音楽を求めているリスナーは決して少なくない。
 
作品のクオリティーを考えても、『Don’t Go Baby It’s Gonna Get Weird Without You』はポーターにとって大きな転機になるはずだった。実際、前作以上に評判になっている。
 
享年36歳というあまりにも早すぎる死が惜しまれる。ポーター自身も悔しかったことだろう。
 
やっと出会えたと思ったら、もうこの世にいなかったなんて、あまりにも寂しすぎるじゃないか。
 
しかし、作品は残る。その魅力を伝えることでポーターのことを一人でも多くの人が知ってくれたら、彼の無念も少しは晴れるんじゃないか。そんなことを願って、『Don’t Go Baby It’s Gonna Get Weird Without You』を大音量で聴いている。
 
 
 

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THE FELICE BROTHERSにまつわるジレンマ

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アメリカーナなロックンロール・バンド、フェリース・ブラザーズのフロントマン、イアン・フェリースが8月にリリースしたソロ・アルバム『In the Kingdom of Dreams』に対する僕の興味は初め、09年にバンドを離れたドラマー、サイモン・フェリースによるプロデュースであることと、そのサイモンがドラムもプレイしたことで、グレッグ・ファーリー(フィドル)抜きとは言え、フェリース・ブラザーズのオリジナル・ラインナップのリユニオンが実現したことに向いていた。
 
 
 
Inthekingdomofdreams_2
In the Kingdom of Dreams / Ian Felice (Loose)
 
 
 
サイモンが抜けてからバンドにふさわしいドラマーに出会えずにいるフェリース・ブラザーズに若干の物足りなさを感じていた僕は、イアンのソロではあるけれど、ひょっとしたらサイモンがいた頃のフェリース・ブラザーズが蘇るようなアルバムになっているんじゃないかと期待していたわけだ。常日頃、バンドに所属しているミュージシャンがソロ活動することに不寛容な態度を取っているくせに虫が良すぎると自分でも思いながら――。
 
しかし、『In the Kingdom of Dreams』は実にソロ・アルバムらしいソロ・アルバムだった。
 
アコースティック・ギター、バンジョー、あるいはピアノの弾き語りに若干の演奏を加えた曲の数々が持つ内省的な空気と音数をとことん絞った演奏が生む緊張感は明らかにバンドのサウンドとは違うものだ。これならソロ・アルバムをリリースする意味もある。最初は、ほっとしたような、ちょっと残念だったような複雑な気持ちになったが、ためのきいたサイモンのドラムを久しぶりに聴けたのもうれしかった。
 
バンドのアルバムと比べて、勝るとも劣らない聴きごたえが楽しめる、いや、イアンの歌の魅力が際立っているという意味では、バンドのアルバムよりも味わい深い、か。
 
ラストの「In the Final Reckoning」はエレピで弾き語るメランコリックなバラードだが、イアンの作詞・作曲にもかかわらず、どこかサイモンのソロを髣髴させるところがおもしろい。
 
ところで、サイモンを含むフェリース・ブラザーズのオリジナル・ラインナップのリユニオンは、実は10年と11月の6月にニューヨーク・シティーの北に位置するハドソン川沿いの小さな町、クロトン・オン・ハドソンで開催されたフェスティバル、Clearwater's GREAT Hudson River Revivalにフェリース・ブラザーズが出演したとき、サイモンが彼らのステージに飛び入りする形で実現している。
 
 
 
 
 
また、15年4月には、サイモンが同月の23日~26日の4日間、ニューヨーク州ウッドストックにあるアップルヘッド・スタジオで行ったライヴでイアン(ギター)、ジェームズ・フェリース(オルガン、ピアノ、アコーディオン)、クリスマスことジョシュ・ロウソン(ベース)、そしてグレッグ・ファーリーら、フェリース・ブラザーズのメンバーが演奏を務め、ファンを喜ばせた。この時、サイモンはソロ名義で発表した曲の数々に加え、フェリース・ブラザーズ時代にリード・ヴォーカルを務めていた「Don’t Wake The Scarecrow」「Radio Song」も歌ったのだった。
 
その時の模様は、15年10月(?)に2枚組のライヴ・アルバム『From the Violent Banks of the Kaaterskill』としてリリースされた。
 
 
 
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From the Violent Banks of the Kaaterskill / Simone Felice (Mighty Hudson)
 
 
 
それがすごい。
 
サイモンのソングライティングとヴォーカリストとしての力量を存分にアピールだけに止まらず、メランコリックなメロディーを歌い上げるサイモンの凄味のある歌に応えるようにフェリース・ブラザーズのメンバー達も気迫に満ちたソリッドな演奏を繰り広げている。
 
それを聴きながら、今のフェリース・ブラザーズには、その気迫や前述した緊張感がちょっと足りないんじゃないか、と思ったり、慌てて、いやいやいや、むしろたとえ主人公が野垂れ死んでしまう曲を歌っても決してペシミスティックにならないところこそが、フェリース・ブラザーズの本当の魅力なんじゃないか。コナー・オバーストが『Salutations』でバック・バンドに起用したフェリース・ブラザーズに求めたものも、きっとそれだったはず、と思ったり――。
 
ともあれ、タイトルとは裏腹にギャング風(と言うか、西部開拓時代のならず者風と言うか)の賑やかさを、これまで以上に打ち出した16年発表の『Life in the Dark』は、そんなフェリース・ブラザーズのベストと言ってもいいかもしれない。
 
 
 
 
 
 
 
 
Saltations
Salutations / Conor Oberst (Nonesuch)
 
 
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Life in the Dark / THE FELICE BROTHERS (Yep Roc)
 
 
 
しかし、その一方では、すでに書いたように……。
 
フェリース・ブラザーズのオリジナル・ラインナップのリユニオンが実現するたび、僕はそんなジレンマに悩まされるのだった。

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ニューオーリンズの5人組、THE DESLONDESのメンバー、SAM DOORESはなかなかの男前なのだった

Thedeslones

 
 
今年6月にリリースした2ndアルバム『Hurray Home』が素晴らしかったニューオーリンズの5人組、ザ・デズロンズ のことを、ここ日本でももうちょっと多くの人に知ってもらいたいと思って、何かいい紹介のしかたはないだろうかといろいろ調べていたら、メンバーの一人、サム・ドアーズ(写真中央)がかつて、ハレイ・フォー・ザ・リフ・ラフことアリンダ・リー・セガーラと恋人関係にあったという記述を、イギリスの音楽誌、UNCUTの記事の中に見つけた。
 
デズロンズの前身バンド、タンブルウィーズ結成以前にサムがアリンダとともにブロークン・ウィング・ルーティーンやサンダウン・ソングスというグループで活動していたことも、14年頃までハレイ・フォー・ザ・リフ・ラフにメンバーとして参加していたことも知っていたが、まさか2人がそういう関係だったとは想像もしていなかった。
 
 
 
サムを含め、当時メンバーだったデズロンズの3人がハーモニーを加えている。 
 
 
 
へえ。ほぉ。だって、ねぇ。
 
自らもそういう立場であることを踏まえたうえで、アメリカにおけるさまざまなマイノリティーの権利を主張しながら、前へ進め!と訴える今風に言えば、それこそ男前のアリンダねえさんを魅了するんだから、サム・ドアーズという男もまた、度量の広さや気っ風の良さと言った意味も含め、なかなかの男前にちがいない。
 
そのサムは現在、ポニー・ハント名義で活動している女性シンガー・ソングライター、ジェシー・アントニックとつきあっているらしい。本人に確かめたわけではない。しかし、ネット上で見つけることができる2人の写真から、それは間違いなさそうだ。
 
ポニー・ハントが昨年10月にリリースしたデビュー・アルバム『Heart Creak』はサムの協力の下、当時、ジェシーが住んでいたオークランドとサムがいるニューオーリンズを行ったり来たりしながら完成させたそうだが、そのジェシーは現在、ニューオーリンズ在住。
 
 
 
 
 
 
ほぉ。へえ。
 
ヨーロッパを一人でツアーするなど、サムはデズロンズのメンバーの中で最も意欲的にソロ活動に取り組んでいる。全米各地からニューオーリンズにやってきた5人のソングライター兼マルチ・プレイヤー達による極めてデモクラティックなデズロンズだけでは、才気あふれるサムは満足できないのかもしれない。
 
デズロンズ、ソロ、ポニー・ハントのサポートに加え、最近ではニューオーリンズのガレージ・ゴスペル・バンド、ジャクソン&ザ・ジャンクスにも参加しているようだ。
 
そんなふうに精力的に音楽活動に取り組みながら仲間のミュージシャンを献身的にサポートすることを惜しまないところまた、彼が男前たる理由の一つなのかもしれない。
 
どうだろう。そんなサム・ドアーズを擁するデズロンズに興味を持っていただけただろうか?
 
 
 
 
 
 
前述した『Hurray Home』は、カントリーとリズム&ブルースを掛け合わせるだけに止まらず、フォークやジャズのエッセンスも取り入れるデズロンズのサウンドがさらに広がったことを印象づける意欲作だ。新たにラテン・ミュージック、テックス・メックス、ブルース、ロカビリーのエッセンスを加えたうえで、エレクトリック・ギターが前作以上にガレージ・ロック風にバリバリと鳴っているところがかっこいい。まるで、のほほんとレイドバックしているだけが俺達じゃないぜと言わんばかりだ。
 
立ったままバスドラムをキックしながら、手に持ったスネアをバシッ、バシッと叩くキャメロン・スナイダーのドラム・プレイが、そんなデスロンズ・サウンドのキモになっていることは疑いようもないが、それについてはまた次の機会に書いてみたい。
 
 
 
 
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Hurry Home (New West)

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JOHN PAUL WHITEとBEN TANNERがアラバマに作った音楽の理想郷

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(左からジョン・ポール・ホワイト、ウィル・トラップ、ベン・タナー)

 
タイトルで謳った理想郷は、ちょっとオーバーだったかもしれない。しかし、流行とは関係なく、あるタイプの音楽を愛する人達が夢を膨らませることができる場所が、アラバマ州フローレンスにはある。
 
それがジョン・ポール・ホワイトとベン・タナーがやっているシングル・ロック・レコード(Single Lock Records)だ。
 
ジョン・ポール・ホワイトはジョイ・ウィリアムズと組んでいたデュオ、シビル・ウォーズで、12年にグラミーのベスト・フォーク・アルバムとベスト・カントリー・デュオ/グループ・パフォーマンスを受賞した経験もあるシンガー・ソングライター。シビル・ウォーズ解散後は、ソロ・アーティストとして活躍しているが、アメリカでは俳優のジョニー・デップに似ていると評判になっているようだ。一方のベン・タナーは、15年4月にリリースした2ndアルバム『Sound & Color』が全米No.1ヒットになったアラバマ・シェイクスのキーボード奏者だ。
 
シングル・ロック・レコードと名乗っているように現在はレーベル業が中心だが、そもそものスタートは、リーズナブルな値段で使えるレコーディング・スタジオだった。やがて、地元・アラバマのバンドが世に出る手助けもしたいと考えたふたりは13年、友人のビジネスマン、ウィル・トラップの協力の下、レーベル業にも乗り出した。そして、アラバマ州バーミングハムの6人組ソウル・バンド、セント・ポール&ザ・ブロークン・ボーンズの『Half The City』(14年)のヒットを経て、現在は地元以外のアーティストの作品もリリースしながら、フローレンスのダウンタウンで116 E. Mobileというライヴハウスも運営。地元のライヴ・ミュージック・シーンを盛り上げることにも尽力している。
 
もちろん、レコーディング・スタジオもシングル・ロックから名前を、サン・ドロップ・サウンドと改め、現在も続けている(もしかしたら、シングル・ロックとは別にサン・ドロップ・サウンドを新たに作ったのかもしれない)。
 
便宜上、シングル・ロック・レコードと名乗ってはいるものの、いわゆるレコード会社ではなく、DIYを基本としたミュージック・コレクティヴ(共同体)と考えたほうがよさそうだ。
 
筆者がシングル・ロック・レコードに辿りついたきっかけは、ユタ州オグデンからやってきた15歳のシンガー・ソングライター、サミー・ブリューが今年6月、ニュー・ウェスト・レコードからリリースしたデビュー・アルバム『I Am Nice』だった。
 
 
 
 
ホワイトとタナーによるプロデュースの下、サン・ドロップ・サウンドとナットハウスででレコーディングされた『I Am Nice』を聴きながら、レコーディングに参加したミュージシャンが聞き慣れない名前ばかりだったので、どういう人達なんだろうと調べてみたら、シングル・ロックのレーベル付き(と言ってもいい)ミュージシャン達とシングル・ロックからシングルとEPをリリースしているフローレンスのロックンロール・バンド、ダニエル・エリアス+エキゾチック・デンジャーズのメンバーだったことがわかった。
 
ニュー・ウェスト・レコードから渡されたプロデューサー・リストの中から、サミーはホワイトとタナーを選んだそうだが、その決め手になったのは、フローレンスを含むマッスル・ショールズが50年代から受け継いできた豊かな音楽の歴史と伝統だったらしい。
 
フローレンスを訪れたサミーは、ホワイトにFAMEスタジオの見学ツアーに招かれ、そこで彼らにプロデュースを頼むことを決めたという。彼らと組めば、自分もマッスル・ショールズの歴史と伝統の一部になれるかもしれないと思ったようだ。
 
マッスル・ショールズの音楽の歴史に新しいページを加えながら、シングル・ロックの活動は、ジェイソン・イズベルアラバマ・シェイクスリー・ベインズ3世&ザ・グローリー・ファイヤーズの活躍によって、再び活気づきはじめたアラバマ・シーンを支えるものとして、これから注目を集めるに違いない。が、もちろん、その活動はアラバマだけに止まるものではない。
 
すでに書いたようにシングル・ロックは、ルイジアナ州シュリーヴポート出身のシンガー・ソングライター、ディラン・ルブラン、ナッシュビルのカントリー・シンガー、ザ・カーナルことジョー・ガーナーといったアラバマ以外のアーティストの作品もリリースしている。
 
 
 
Stpaul St.Paul & The Broken Bones
 
 
 
Danielelias Danile Elias + Exotic Dangers
 
 
 
Dylanleblanc Dylan LeBlanc
 
 
 
Thekernal The Kernal
 
 
 
そして、この7月にはニュー・ジャージー出身で、現在はナッシュビルを拠点にしているシンガー・ソングライター、ニコール・アトキンスレオン・ブリッジスを手掛けたナイルズ・シティー・サウンドとテキサス州フォート・ワースで作ったソウルなカントリーの新作『Goodnight Rhonda Lee』をリリースした。
 
 
Nicoleatkins Nicole Atkins
 
 
06年にソロ・デビューして、メジャーからの作品も含め、3枚のアルバムをリリースしてきた彼女を迎え入れたことは、サミー・ブリューのアルバムとともにシングル・ロックがさらに多くの人に知られる、いいきっかけになるだろう。
 
 
 
 
 
Frankly, that’s what we want to release—our favorite music.――をモットーに掲げるシングル・ロックが、これからどんなアーティストの作品をリリースしていくのか楽しみだ。きっと現在進行形のアメリカーナ・シーンに興味を持っているリスナーの好奇心を刺激する作品をリリースしてくれるはずだ。大いに期待している。
 
 
 
 
Nicoleatkinsjkt
Goodbye Rhonda Lee / Nicole Atkins (Single Lock)
 
 

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JUSTIN TOWNES EARLEがトヨタ・カローラを歌った理由

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ジャスティン・タウンズ・アールの最新アルバム『Kids In The Street』は、「Champagne Corolla」という日本人には親しみが湧くタイトルがつけられたロックンロール・ナンバーで始まる。
 
 
 
 
その「Champagne Corolla」を聴きながら、なぜジャスティンは日本を代表する大衆車であるトヨタ・カローラを小道具に使い、無為の日々を過ごしている若者が恋に焦がれる気持ちを歌ったんだろうと不思議に思っていたら、ジャスティンはその理由を、noisey.vice.comにこんなふうに語っていた。
 
「最近の車は55年型のシボレーと違ってクールじゃないから曲の題材にならないとこぼしているソングライターがいたんだ」
 
だから、俺がそのクールじゃない最近の車で曲を作ってやったんだ、と。
 
「俺は下流中産階級で育ったんだ。周りにいる連中もそいつらの母親もみんなカローラに乗っていたよ」
 
母親と限定したのは自分も含め、母子家庭が多かったからなのかどうなのか。ともあれ、カローラを題材にしたことで、カローラがどういう車なのか知っている人なら、街で見かけたイカした女の子を探し求める主人公の境遇やそこに滲むその境遇を脱け出せない悲哀が具体的な描写がなくてもなんとなく理解できるというわけだ。そこに最近の車を題材にする意味がある。
 
「マイク・モギスはここでメロトロンを試してみようぜという感覚を(『Kids In The Street』のレコーディングに持ち込んでくれた。俺だったらたぶんフィドルか何か、そういうトラディショナルな楽器を試していたに違いない局面でね」
 
この発言からもジャスティンが『Kids In The Street』でどんなサウンドにアプローチしようと考えていたかが窺えるが、noisey.vice.comの記事を書いたAnnalise Domenighiniは『Kids In The Street』にはサウンドのみならず、歌詞の面でもフォーク・ミュージックを現代的なものにしようというテーマがあったと指摘している。
 
その最たるものが前述した「Champagne Corolla」とジャスティンが弾き語りしたフォーク・ブルース調の「Same Old Stagolee」。
 
 
 
 
 
後者のモチーフであるスタッグ・リー・シェルトンによる1895年のビリー・ライアンズ射殺事件は、いわゆるマーダー・ソングとして、数多くのアーティストがそれぞれに手を加え、場合によってはタイトルも変えながら歌い継いできた。
 
中でも一番有名なのはロイド・プライスによって、1959年に全米No.1ヒットになった「Stagger Lee」かもしれない。個人的にはニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズによる『Murder Ballads』(1996年)の「Stagger Lee」やブラック・キーズによる『Rubber Factory』(2004年)の「Stack Shot Billy」も馴染み深い。
 
ジャスティンが今回、タイトルに加えた“Same Old”=相も変わらずのという言葉からは、手垢がついているとも言えるマーダー・ソングを改めて取り上げることに対する照れが感じられるが、Annalise Domenighiniによると、ジャスティンは1895年の殺人事件に現代のナッシュビルを重ねあわせているという。
 
「だって、今の時代、誰も鋤や馬を題材にした歌になんて共感しないし、そもそも誰も馬と鋤で畑を耕したりなんかしていないだろ」というわけだ。
 
scituate.wickedlocal.comにジャスティンが語ったところによると、曲は100通りぐらいあるのに歌詞はアップデートされたことがなかったから、彼のヴァージョンではStagoleeをクラックの売人として描き、Stagoleeと敵対する男を登場させたという。
 
「だけど、物語はちゃんと続いている。そして、曲を聴いた人達は、人々がこういうトラブルを繰り返し続けてきたことを思い知るんだ」
 
「Same Old Stagolee」の“Same Old”は決して照れなどではなかった。相も変わらず、120年以上も前の殺人事件を歌いつづけている連中に対するもなのか、愚かな行為を相も変わらず繰り返している人間に対するものなのか、いずれにせよ、“Same Old”という言葉には、痛烈な皮肉が込められているみたいだ。
 
そんなところがジャスティン・タウンズ・アールらしい。
 
 
 
 
Jtejkt
Kids In The Street (New West)
 
 

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THE LIVING ENDのフロントマン、CHRIS CHENEYがソロ・アルバムを完成させていたなんて!

Livingend

真ん中がクリス。今年2月~3月には『アメリカン・イディオット(ミュージカル)』のオーストラリア版に出演した。
 
 
ちょっとした理由があって、スカイラー・ウィルソンというナッシュビルのプロデューサー/ミュージシャン/コンポーザーについて調べようと思って、彼が参加した作品を年ごとにまとめた一覧を見ているとき、2017年の欄に
 
Chris Cheney (of The Living End), TBA: Producer, Composer, Performer
 
という記述を見つけた。
 
ええっ。それって、つまり日本でも根強い人気を誇るパンカビリー・バンド、リヴィング・エンドのフロントマンであるクリス・チェニーがスカイラー・ウィルソンとソロ・アルバムを作ったということでしょ?
 
彼がソロ・アルバムを作っていたなんて、全然、知らなかった。調べてみると、14年頃から温めていたアイディアを、16年の頭、ナッシュビルでウィルソンとともに形にしたということらしい。
 
レコーディングにはスコット・オーウェン、アンディ・ストラッカン――すなわちリヴィング・エンドのベーシストとドラマーも参加した。
 
16年9月、クリスがwww.news.com.auで語ったところによると、ソロ・アルバムにはアコースティック・ナンバー6曲とバンド編成でレコーディングした5、6曲が収録される予定で、カントリーの影響に加え、ビートルズ風のポップ要素や、ほとんどバラードと言ってもいい曲もあるそうだ。
 
「リヴィング・エンドとはかけ離れているんだ。彼ら(スコットとアンディ)も気に入ってくれているよ。リヴィング・エンドのようなサウンドじゃないところも含めね。(リヴィング・エンドのファンの)みんなが期待しているものとは違うんだ」
 
クリスの繊細な一面が表れた作品になっているようだ。
 
 
 
 
レコーディングしてからすでに1年が過ぎたが、ソロ・アルバムがいつリリースされるかはまだ発表されていない。現在、リヴィング・エンドはイギリス~ヨーロッパ・ツアーの真っ最中。それが終わると、8月、9月と2か月かけて北米を回る。
 
ソロ・アルバムのリリースは、バンドの活動がひと段落してからだとは思うが、果たしてその日は来るんだろうか? 18年はデビュー・アルバムのリリース20周年になるから、バンドの活動はさらに忙しいものになりそうだ。
 
リリースするならその前しかないんじゃないか?! リリースするタイミングを逸したまま、お蔵入りするなんてことにならないことを祈りつつ、今年中の、どこかのタイミングでリリースされることを願っている。

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