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2018年5月

3年ぶりの新作を完成させたLUCEROのBENと映画監督として活躍している弟、JEFF――南部で生まれ育ったNICHOLS兄弟の絆とは

Lucero

 
 
結成20周年を迎えたメンフィスの5人組ロックンロール・バンド、ルセロが遂に新しいアルバム『Among The Ghosts』を完成させた。
 
リリース日は8月3日。
 
前作『All A Man Should Do』から3年ぶりのリリースとなる。
 
今回は、2012年から所属していたATOから離れ、インディペンデントのアーティストをサポートしているナッシュビルのサーティー・タイガースからのリリースであることに加え、09年の『1372 Overton Park』から『All A Man Should Do』まで3作連続でプロデューサーを務めてきたテッド・ハットに代えて、ジェイソン・イズベル、マーゴ・プライス、ドライヴ・バイ・トラッカーズ他を手掛けてきたプロデューサー/エンジニア、マット・ロス・スパングと新たに組んでレコーディングを行っている。
 
心機一転という気持ちがメンバーたちにはあるようだ。
 
『1372 Overton Park』以来、レコーディングのみならず、ツアーにも連れていっていたホーン隊と一旦別れ、結成時の4人にキーボード奏者のリック・ステフを加えた5人でレコーディングしたというから、ストレートなロック・サウンドに回帰しているに違いない。
 
その一方でバンドのフロントマンであるベン・ニコルズ(Vo, G)は曲を作るにあたって、これまで以上にストーリーテリングを意識したそうだ。
 
「Back to the Night」という曲では映画『シェイプ・オブ・ウォーター』他で知られる俳優、マイケル・シャノンがナレーションを加えているという。
 
新作のソングライティングを「シネマティック」とたとえるベンは、こう付け加えている。
 
「でも、誰も見たことがないような映画なんだ」
 
 
 
 
 
 
 
リリースに先駆け、公開された「For the Lonely Ones」「To My Dearest Wife」の2曲を聴きながら、前作からの3年の間に、それぞれに家族を持った彼らが心機一転、どんなロックンロールを奏でるのか楽しみにしている。
 
 
 
Amonghteghosts Among The Ghosts (Liberty&Lament / Thirty Tigers)
 
 
『Among The Ghosts』にはベンがソロ名義で、映画『ラビング 愛という名前のふたり』に提供した「Loving」のバンド・ヴァージョンを含む計10曲を収録。
 
その『ラビング 愛という名前のふたり』は、映画監督として活躍しているベンの弟、ジェフの5作目の作品。因みにマイケル・シャノンはジェフ・ニコルズ作品の常連俳優。「Back to the Night」の客演も納得だ。
 
Jeffandmichael ジェフとマイケル・シャノン
 
 
これまでジェフは最新作の『ラビング 愛という名前のふたり』を含め、計5本の映画を監督しているが、ベンはソロ、あるいはルセロとして、全作品に楽曲を提供している。
 
ジェフのデビュー作『Shotgun Stories』(07年)は製作費25万ドルのロウバジェット作品だったから、ひょっとしたら、音楽を作る予算がなくて、兄貴を頼ったのかもしれない。しかし、その後、ジェフは監督して成功を収め、『『MUD -マッド-』(12年)、『ミッドナイト・スペシャル』(16年)といった大きなバジェットの作品を撮るようになった。
 
音楽にだって、たっぷりと予算を掛けられるだろう。実際、劇中の音楽は、2作目の『テイク・シェルター』(11年)からずっとデヴィッド・ウィンゴを起用しているが、いわゆる挿入歌やエンディング・テーマだって、いろいろな――たとえば、有名なアーティストを使ってもいいはずだ。しかし、ジェフがエンディングを含め、特に印象的な場面ではベンやルセロの曲を使いつづけているのは、彼の作品が人気アーティストの曲が多数、流れるような派手な作品ではないこともさることながら、やはり兄弟と言うか、家族の絆を大事にしているからなんじゃないだろうか。ルセロと言えば、アメリカの南部にルーツを持っていることを誇りとしているバンドだが、そこにアーカンソー出身のジェフの兄貴に負けない南部魂を感じたりも。
 
その意味では、ベンやルセロのメンバーのみならず、マイケル・シャノンやデヴィッド・ウィンゴまた、ジェフにとっては家族と言える存在なのかもしれない。

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