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見た目のインパクトもやっぱり大事だよね(その2): JACK WHITEを虜にした26歳のベテラン・シンガー・ソングライター、LILLIE MAEが遂にソロ・デビュー

Lilliemae

 
いきなりモヒカンっていうのは、これまでフェミニンな印象があったからけっこうびっくりだった。
 
ソロ・アーティストとして本格的にキャリアをスタートさせる闘志の表れなのか、それとも単純にファッションなのか。いずれにせよ、そんなイメチェンは、リリー・メイこと、リリー・メイ・リーシュのソロ・デビューを、より一層鮮烈なものにした。
 
 
 
ジャック・ホワイトの2ndソロ・アルバム『Lazaretto』で、その歌声を聴き、あるいは、ジャックのバッキング・バンドのメンバーとして、ステージでフィドルをプレイするだけに止まらず、ジャックとデュエットする姿を見て、リリー・メイの存在を知ったという人は多いと思う。
 
彼女のソロ・デビュー・アルバム『Forever And Then Some』は、そのジャック・ホワイトのよるプロデュース。ジャックのレーベル、サード・マンからのリリースだ。だから、ロック界の寵児に見出されたシンデレラガール。最初はリリー・メイのことを、そんなふうに考えていた。
 
しかし、そんなに簡単にチャンスを掴めるほど甘い世界ではない。旅回りのミュージシャンである親の下、3歳の頃から兄、姉とともに人前で歌ってきたというリリー・メイもまた、ここに来るまでいくつかの壁を乗り越えてきた。
 
たとえば、06年、リリー・メイが16歳の時、ナッシュビルで兄、姉達と組んだバンド、ジプシー(JYPSI)。
 
リリー・メイがリード・ヴォーカルを務めたジプシーはローカル・シーンで注目され、08年、セルフタイトルのアルバムでメジャー・デビュー。アルバムからは「I Don’t Love You Like That」のスマッシュ・ヒットも生まれた。しかし、レコード会社が理想と考えるイメージを押しつけられる活動は、メンバー達にとって満足できるものではなかった。デビュー・アルバムもバンドによるオリジナル曲は、リリー・メイの兄、フランクによる「Kandi Kitchen」1曲だけで、「I Don’t Love You Like That」を含むその他の10曲はすべて外部のソングライターによるものだった。 
 
 
Jypsi JYPSI 一番右がリリー・メイ
 
 
やがて、リリー・メイはジャック・ホワイトと活動を共にしはじめるが、曲はずっと作り続けていたようだ。ツアー中、彼女が楽屋で作っていた曲をたまたま耳にしたジャックのバックアップによって、作りためていた曲の数々が遂に日の目を見ることになった。
 
14年、サード・マンから7インチ・シングル「Nobody’s (b/w The Same Eyes)」をリリース。その後、ケネス・ブライアン・バンドとアラバマでレコーディングしたアルバムを、15年2月にリリースするはずだったが、結局、その話は流れてしまった。
 
それから『Forever And Then Some』をリリースするまで2年かかっていることを考えると、今回のソロ・デビューは、やはり“念願の”という言葉がふさわしいと思うし、冒頭に書いたイメチェンもやはり――。
 
3曲のレコーディングからスタートしたのち、ジャックの「もっと曲はないの?あるでしょ」という言葉からアルバムに発展したという『Forever And Then Some』にはかつてジプシーを一緒にやっていたリリー・メイの兄、フランク(ギター)と姉、スカーレット(マンドリン)がほぼ全曲で参加している。もしかしたら、ジプシーの再現、あるいは自分達が思うように活動ができなかったジプシー時代のリベンジなんて思いも多少はあるんじゃないかなんて思ったりも。
 
『Forever And Then Some』はリリー。メイのバックボーンであるカントリー、ブルーグラスの影響がストレートに出た気持ちのいい作品だ。ジャック・ホワイトもよけいなものを加えず、彼女の魅力をそのままとらえようとしたようだ。演奏の中に耳に残るフレーズが多いのは、ひょっとしたらジャックのサジェスチョンかもしれない。コケティッシュなリリー・メイの歌声もとても魅力的だ。
 
唯一、モダンな雰囲気があるラスト・ナンバーの「Dance To The Beat Of My Own Drum」は、アルバムの異色曲なのか、それとも今後の変化の布石なのか。それも楽しみの一つと考えながら、彼女の今後の活躍を追っていきたい。
 
 
 
Lilliemaejkt
『Forever And Then Some』(Third Man)

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