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見た目のインパクトもやっぱり大事だよね(その1):オンタリオの森からやってきたブルース・シンガー、CAT CLYDE

Catclyde

 
ぱっつん前髪と鼻の輪っかピアス。それに腕に入ったタトゥー。まずは、そんなルックスに惹かれた。
 
トロントから100キロほど西に位置するオンタリオ州ストラトフォード出身の女性シンガー・ソングライター、キャット・クライド。あのジャスティン・ビーバーと同じ町で育ったという彼女が奏でるのはブルースだ。
 
なぜか、彼女のことをアコースティック・ギターをポロポロと爪弾きながら歌うフォーク・シンガーだと勝手に思い込んでいた僕は、彼女が今年5月にリリースしたデビュー・アルバム『Ivory Castanets』を聴き、びっくりしてしまった。
 
しかも、彼女はスライド・ギターの使い手でもあった。
 
14~15歳の時、それまで習っていたピアノに加え、独学でギターを弾き始めた。高校時代には、いくつかのバンドを掛け持ちしながら、自ら曲を作り始めた。『Ivory Castanets』の中でフォークの影響が色濃い、最もシンガー・ソングライター然とした「Like A Wave」「Mama Said」の2曲は、高校時代に書いたものだという。
 
 
 
 
影響を受けたアーティストは、ロバート・ジョンソン、ライトニン・ホプキンス、レッドベリー、エタ・ジェームズとかなり渋い。しかし、彼らをインターネットで見つけたところがなんともイマドキだ。それを考えると、レトロな音楽をやっているように思えて、キャット自身が自分の音楽を懐古調と考えているかどうかは、ちょっとわからない。そこが現代のアメリカーナのおもしろいところだ。
 
大学を卒業した14年頃から友人の協力の下、友人の家の地下室でこつこつと作りためた曲の数々がまとめられ、『Ivory Castanets』として、遂に日の目を見た。
 
そこにはオールドタイミーかつスウィンギーな「Running Water」、弾き語りのフォーク・ブルースにカントリー・タッチの演奏が加わる「The Man I Loved Blues」、ピアノが転がるように鳴るラグタイムの「Walkin’ Down The Road」のような曲も加えられ、彼女の表現が決してブルースだけに限られたものではないことを物語っている。今後はもっともっと型にはまらない表現を追求しながら、僕らを驚かせるに違いない。
 
若干の濁りが入り混じる奔放な歌声も聴き応えがある。
 
海外ではすでに多くのメディアが“カナダの森からやってきた”キャットに注目しはじめている。
 
因みに『Ivory Castanets』というタイトルは、少女時代の愛読書であるジェームズ・オリヴァー・カーウッドの『子熊物語(The Grizzly King)』からの引用で、岩に残された熊の爪(爪痕?)を表現した言葉なんだとか。
 
実は今年のSXSWで滞在最終日の最後にキャットとダイエット・シグ、どちらを見るか迷って、結局、去年、見逃したダイエット・シグを見に行き、ギターを弾きながらぴょんぴょんとステージを飛び回るアレックス・ルチアーノ(Vo, G)のエネルギッシュなパフォーマンスにすっかり魅了されたから、それはそれで別にいいんだけれど、その後、『Ivory Castanets』を聴き、キャットのライヴを見逃したことを、ちょっと、いや、かなり後悔している。
 
もし来年も出演するなら、その時は、ぜひ。
 
 
Ivorycastanets
Ivory Castanets (Cinematic Music Group)

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