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LISA LEBLANCがフォーク・シーンに炸裂させたロックな爆音

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いろいろな意味ですごいよ、リサ・ルブラン。“Folk trash”を掲げるシンガー・ソングライター/ギタリスト、そしてバンジョー弾き。
 
一応、フォーク畑のアーティストということになってはいるが、10代の頃はロックばかり聴いていたというし、そもそも広い世界に出ていきたいと考えていたその当時は故郷のことばかり歌っているブルーグラスもカントリーも大嫌いだったという。だからなのか、その表現はとにかくパワフルかつエネルギッシュ、そしてダイナミックというところが頼もしい。
 
しかも、12年にリリースしたデビュー・アルバム『Lisa LeBlanc』に収録されている「Chanson D'une Rouspéteuse」(ジョニー・キャッシュのカヴァーを歌っている歌手は嫌い、と歌っている)のアレンジは、ガン・クラブの「Preaching The Blues」を下敷きにしているように思えるし、昨年9月にリリースした2ndアルバム『Why You Wanna Leave Runaway Queen?』ではバンジョーをかき鳴らしながらモーターヘッドの「Ace of Spades」を、原曲に近いアレンジでカヴァーしているんだから、興味を抱かずにいられなかった。
 
 
 
 
歌声もパフォーマンスも、ついでに見た目もド迫力だが、90年8月生まれというから、まだ26歳。
 
カナダ東部のフランス語圏の町、ニュー・ブランズウィック州ロセールヴィルに暮らす音楽一家に生まれ育ったというリサは、14歳でギターを弾き始め、17歳になる頃にはバーで演奏するようになっていたという。最初はカヴァーが中心だった。それから徐々にオリジナルを増やしていき、現在の自分がある、と彼女はとあるインタビューで語っていたが、実は18歳の時、モントリオール近郊の町、グランビーにある音楽学校に通い、作曲を学んでいる。その時、ホームシックになった彼女は故郷に思いを馳せながらブルーグラスやカントリーを聴き始めると、バンジョーを買って、突然、ブルーグラスのフェスティバルに行こうと思ったそうだ。
 
その後、40年の歴史を誇る音楽コンクールで自作曲が受賞したことをきっかけに注目された彼女は12年、全曲フランス語で歌った『Lisa LeBlanc』でデビュー。それがカナダ国内で9万枚を超えるセールスを記録する大ヒット作となった。14年には活動を英語圏にも広げることを視野に入れ、英語で歌ったEP『Highways, Heartaches and Time Well Wasted』をリリース。カレン・ダルトンの「Katie Cruel」のカヴァーを含む全6曲を収録したそのEPもヒット。『Lisa LeBlanc』と『Highways, Heartaches and Time Well Wasted』の累計セールスは現在、14万枚を超えているという。
※『Lisa LeBlanc』と『Highways, Heartaches and Time Well Wasted』の2枚は、大阪のBSMF RECORDSが国内配給している。
 
 
Lisa Lisa LeBlanc (Bonsound)
 
 
Highway Highways, Heartaches and Time Well Wasted (Bonsound)
 
 
そのことが、もっと大胆になってもいいんだと彼女に思わせたのかもしれない。昨年、リリースした『Why You Wanna Leave Runaway Queen?』は、彼女の根っこにあるロックに回帰した野心作となった。これまでだってフォークと言うには、あまりにも型破りだったが、さらにロック色濃いサウンドにアプローチしている。
 
 
Runawayqueen Why You Wanna Leave Runaway Queen? (Bonsound)
 
 
その成果が前述したモーターヘッドのカヴァーなのだが、もちろん、それだけではない。哀愁のカントリー・ロック・ナンバー「City Slickers and Country Boys」では、まるでハード・ロック・バンドのように2本のリード・ギターを泣かせているし、フランス語で歌った「Ti-gars」でザクザクと刻むエレキギターはまるでガレージ・ロックみたいだし、そもそも低音と歪みを強調して、ズドドーンと轟かせるサウンド・メーキングがもはやフォークの範疇を逸脱しているんだから痛快すぎる。
 
その一方では、アコースティック・ギターで弾き語ったフォーク・バラードの「5748 km」、バンジョーを奏でながらフランス語で歌ったトラッド・フォーク調の「Eh cher (You’ve Overstayed Your Welcome)」、バンジョーの速弾きを披露するブルーグラス・ナンバー「Dead Man’s Flats」といったフォーク系の曲の出来もいい。中でも一番の収穫は、ハワイアン(・ミュージック)も大好きだというリサがラップ・スティールをフィーチャーした「Dump the Guy ASAP」。女友達に不実な恋人とは、さっさと別れたほうがいいと勧める辛辣な歌詞とは裏腹にノラ・ジョーンズが歌っても似合いそうな洒脱な軽やかさが感じられるところなどは、新境地と言ってもいいかもしれない。
 
 
 
 
そんな曲の数々を収録した『Why You Wanna Leave Runaway Queen?』は、国内のアルバム・チャートで8位を記録した。それだけ多くの人が彼女の挑戦を歓迎したということだ。
 
これが受け入れられたんだったら――。リサ・ルブランの音楽は、これからもっともっと大胆に変化していきそうだ。
 
 
 
 

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