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2016年10月

DRIVE BY TRUCKERSの最新アルバム『American Band』がちょっと残念な理由

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内容は申し分ない。
 
じゃあ、なぜ残念なのか。それは01年発表の『Southern Rock Opera』以降、8枚のオリジナル・アルバムを含め、ほぼ全てのアルバムのカヴァーに使われてきたウェス・フリードの絵が今回、『American Band』では使われずに写真だったからだ。
 
 
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American Band (ATO)
 
 
ドライヴ・バイ・トラッカーズのCDを買うことは、フリードの作品をコレクションすることでもある、と考えているのは、きっと僕だけではないはずだ。そんな人達にとっては一大事。
 
ブックレットの中面とCDの盤には、ちゃんとフリードの絵があしらわれているから、アメリカの現状を歌うアメリカのバンドという自負がある彼らが今回、歌おうとしているものを象徴するには、半旗として掲げた星条旗の写真を、どうしても使う必要があったということなんだろう。
 
99年にリリースしたライヴ盤『Albama Ass Whuppin'』を13年にリイシューしたとき、バンドは元々、写真を使っていたアルバム・カヴァーを、フリードの絵に改めている。そこにはフリードの絵に対する愛着が感じられる。そう言えば、パターソン・フッド(Vo&G)が09年にリリースした2枚目のソロ・アルバム『Murdering Oscar (And Other Love Songs)』のカヴァーもフリードの絵だった。
 
 
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Southern Rock Opera (Lost Highway)
 
 
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Alabama Ass Whuppin' (ATO)
 
 
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Murdering Oscar (And Other Love Songs) / Patterson Hood (Ruth St.)
 
 
それでも今回は、この写真が使いたかった。
 
それを考えながら、『American Band』を聴けば、きっと曲の聴こえ方もバンドがそこに込めたメッセージの重みも違ったものになるはずだ。

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私生活の変化が作風に表れたLUKE WINSLOW KINGの最新作

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ニューオーリンズのミュージシャン、ルーク・ウィンズロウ・キングのブラッドショット・レコードからの3作目となる『I’m Glad Trouble Don’t Last Always』のアルバム・カヴァーを見たとき、ちょっとびっくりだった。
 
なぜなら、前作『Everlasting Arms』ではルークともとにアルバム・カヴァーに登場し、前々作『The Coming Tide』では写真にこそ写っていないものの、「Featuring Esther Rose」とクレジットされていた公私にわたるパートナー、エスター・ローズ・キングの姿も名前もなかったからだ。
 
あれっと思い、ブックレットでレコーディングの参加メンバーを確かめてみたところ、そこにもエスターの名前はなかった。どういうことなんだろうとブックレットの左隅に目をやると、「This album is dedicated to Esther Rose King」という書き出しで、彼女に対する感謝に加え、喪失と傷心の思いが綴られていた。
 
なんとルークはエスターと離婚していたのだった。
 
離婚の直前、ルークはマリファナ所持の罪で逮捕、収監されたというから、ひょっとしたらエスターから三行半を突きつけられたのかもしれない。
 
ともあれ、『I’m Glad Trouble Don’t Last Always』の収録曲は、離婚の話し合いの最中に書かれたものばかりだそうだ。
 
「自分のファンに対して正直にならなきゃいけないし、それには自分自身を曝け出さなきゃいけないと感じていた」
 
ルークは新作について、そんなふうに語っているが、アルバム表題曲や「No More Crying Today」が再出発を思わせる一方で、「Change Your Mind」「Heartsick Blues」「Esther Please」「Act Like You Love Me」といったタイトルからはエスターに対するルークの未練が窺えはしないだろうか? 「Act Like You Love Me」なんて曲調がバウンシーなだけにかえって痛々しい。
 
Lukeesther こんな幸せな日々もあった…
 
 
ブルースのミュージシャンと言われながら、ブルースのみならず、これまでフォーク、オールド・タイミーなジャズ、ロックンロールといった幅広い音楽にアプローチしてきたルークが『I’m Glad Trouble Don’t Last Always』では、アコースティック・ギターで弾き語るフォーク・バラードの「Heartsick Blues」以外はブルースを歌っている。
 
そのせいか、『I’m Glad Trouble Don’t Last Always』にはギターの腕前も含め、エリック・クラプトン、いや、ジョン・メイヤーのファンにも薦めてみたい魅力も感じられる。そこが今回のアルバムは新しい。
 
因みにエスターは現在、エスター・ローズ名義で音楽活動を行っている。
 
 
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I’m Glad Trouble Don’t Last Always(Bloodshot)

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