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THE STRANGE BOYSの元フロントマン、Ryan Sambolがソロ活動を開始

Rayansambol

 
アルバムは3枚全て持っているし、ライヴも一度見たことがある。決して嫌いなタイプのバンドではない。しかし、タイミングなのか、俺がボンクラなのか、何なのか、テキサス州オースティンのガレージ・ロック・バンド、ストレンジ・ボーイズには正直、それほど夢中になることはなかった。
 
だから、バンドのフロントマンだったライアン・サンボルが15年7月にリリースしたソロ・アルバム『Now Ritual』を聴きつづけながらちょっと戸惑っている。ストレンジ・ボーイズってそんなによかったかしら?
 
 
Nowritual
Now Ritual / Ryan Sambol (FWP / Punctum)
 
 
12年7月のライヴを最後にストレンジ・ボーイズの活動に終止符を打ったライアンはサンフランシスコに移住。そこで、早速、グレッグ・アシュリー、ミカル・クローニンら、シスコのガレージ/サイケ・シーンのミュージシャン達とレコーディングを行った。それが『Now Ritual』。レコーディングからリリースされるまでに3年かかっているわけだけれど、プライベートすぎるという理由からライアンは当初、リリースするつもりはなかったらしい。
 
その『Now Ritual』がリリースされることになったきっかけは、14年の夏、当時すでにオースティンに戻っていたライアンがオースティンでパンクタムというインディー・レーエルを運営しながら、ステューディアムというアート・スペースで総監督を務めているダン・ラッドマンに『Now Ritual』を含む未発表のソロ音源を聴かせたことだった。
 
「この1年、音楽から離れていたけど、また始めようと思っているんだ」
 
ステューディアムの設立にかかわったライアンはラッドマンから近況を尋ねられ、そう答えたそうだ。『Now Ritual』を聴いたとき、「これはリリースされるべきだ」と思ったラッドマンは、「それならなおさら」と『Now Ritual』のリリースをライアンに勧めたそうだ。
 
因みにストレンジ・ボーイズにそんなにハマらなかった筆者が『Now Ritual』を購入した理由は、完全にジャケ買い。とあるサイトで『Now Ritual』のアートワークを見た瞬間、何かビビッと感じるものがあった。その直感は大当たりだった。
 
敢えてカテゴライズするなら、ブルース/R&B/フォークということになるだろうか。ただし、頭にアシッドあるいはフリークという言葉をつけたほうがフリーキーな演奏にはしっくり来る。むわっとするような熱が感じられるところはいかにも南部のミュージシャンならではだが、その一方ではヨーロッパ趣味と言うか、クラシックの影響が感じられるところもある。
 
しかし、そんなカテゴライズは実はどうでもいい。『Now Ritual』の一番の聴きどころは、酔っぱらいが歌っているような、呻いているような、唸っているようなライアンのヴォーカルだ。
 
歪みがきついギターやドラムを、演奏に加えた曲もあるが、ほぼピアノあるいはギターの弾き語り。ライアンが「プライベートすぎる」と言ったそのシンプル極まりない演奏がクセのあるヴォーカルの魅力を際立たせている。ダメな人は絶対、ダメかもしれない。逆に一度ハマると、病みつきなるキョーレツな魅力がある。
 
それで入手以来、聴きつづけてきたわけだけれど、そのうちもっともっと聴いてみたいと思うようになり、『Now Ritual』と同時リリースされたリヴィング・グレイトフルの『Peace Mob』も慌ててオーダーした。
 
リヴィング・グレイトフルはサンフランシスコからオースティンに戻ってきたライアンが13年にストレンジ・ボーイズのギタリストだったグレッグ・エンロウら、オースティンのミュージシャン達と結成した5人組のバンドだ。エンジニアにマット・ヴェルタ・レイを迎え、『Peace Mob』をレコーディングしながら、メンバーそれぞれに進みたい道が違ったのか、数回、ライヴをやっただけで解散してしまった。
 
 
 
 
その『Peace Mob』は元々、ストレンジ・ボーイズの古巣レーベル、イン・ザ・レッドからリリースされる予定だったが、ずっとリリースが延期されたままだったので、『Now Ritual』をリリースするなら一緒にとライアンが権利を買い取り、遂に日の目を見ることになった。
 
 
Peacemob
Peace Mob / Living Grateful (FWP / Punctum)
 
 
『Now Ritual』同様、リリースされてよかった。バンド名はグレイトフル・デッドのもじりみたいだが、サウンドはザ・バンドやローリング・ストーンズを思わせるロックンロールだ。ストレージ・ボーイズに通じるところもあるが、エネルギッシュであると同時に、よりルースなところが魅力。ライアンのクセのあるヴォーカルもバンドの演奏に見事ハマっている。『Peace Mob』一枚しか聴けないのかと思うと、ちょっと残念だが、2枚の未発表アルバムのリリースをきっかけに本格的にソロ活動を開始したライアンの今後に期待したい。
 
――と思っていたら、4月14日に突然、新曲「April March」のビデオを発表した。
 
 
 
 
とぼけた味わいもあるガレージ/サイケなこのインスト・ナンバーが、ライアンがすでに取り掛かっているという新しいアルバム『Rail Sing』からの曲なのか何の情報もないためわからないのだが、何らかのアクションの前触れと考え、今からわくわくわしている。

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