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RICHMOND FONTAINEが飾った有終の美

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結成から22年、ソウル・アサイラムの影響が色濃いオルタナ・カントリー・バンドから音響系のカントリー・ロック・バンドに進化を遂げていったオレゴン州ポートランドの4人組、リッチモンド・フォンテーンが今年3月、前作から5年ぶりにリリースした10作目のアルバム『You Can’t Go Back If There’s Nothing To Go Back To』とリリース後のツアー(3月30日~7月21日?)を最後に解散することを発表した。
 
 
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You Can’t Go Back If There’s Nothing To Go Back To (Fluff & Greavy)
 
 
結成メンバーでベーシストのデイヴ・ハーディングが11年に家族とともにデンマークに移住したことに加え、フロントマンであるウィリー・ヴローティン(Vo, G)が小説家として成功しはじめたことをきっかけにメンバーそれぞれに将来のことを考えたとき、まさに有終の美を飾るにふさわしいアルバムを作ることができたことが解散を決める理由になったようだ。
 
テキサス州オースティンのバンド、ダムネイションズTXのデボラ・ケリーをゲストに迎え、インストも含む全17曲で狂気の愛の物語を描きながら、久しぶりにハード&ヘヴィな一面も見せたロック・オペラ路線の前作『The High Country』(11年)が、バンドが究めたピークを見事にとらえた作品だったことを考えると、そこで終わってもよかったかもしれない。
 
実際、ウィリーは『The High Country』のツアーが終わって、デイヴがデンマークに行ってしまうと、デラインズなる新たなプロジェクトをスタートしている。それは自分達の人生の変化とともに訪れようとしているリッチモンド・フォンテーンの終わりを意識していたからだろう。
 
しかし、デラインズの活動が一区切りついたとき、ウィリーはリッチモンド・フォンテーンとして、どうしてももう1枚、アルバムを作りたくなった。『The High Country』 みたいな気が触れたようなアルバムで終わりにしたくなかったからだそうだ。
 
インスト2曲を含む13曲からなる『You Can’t Go Back If There’s Nothing To Go Back To』は、とてもリッチモンド・フォンテーンらしい作品だ。虚無感が感じられるタイトルは3曲目に収録されている「I Got Off The Bus」の歌詞の一節だが、その「I Got Off The Bus」をはじめ、人生や生活が破綻した人々の物語を巧みに切り取ったストーリーテリング、架空の映画のサントラを思わせるシネマティックなサウンドは、ともに彼らの真骨頂。そこに派手な魅力は何一つない。しかし、逆にそこが味わい深い。人生に行き詰っているにもかかわらず、焦燥感に駆られながら、どうしようもできずにいる人々の姿を、敢えて抑揚を抑え、淡々と描写するウィリーのビターな歌声が胸に染みる。
 
 
 
 
茫漠たる荒野を、強烈な寂寥感とともに連想させながら、実は躍動感にあふれ、曲の味わい深さを際立たせる演奏からもバンドの成熟が感じられる。『The High Country』もいいアルバムだったが、リッチモンド・フォンテーンらしいと言うなら、やはり『You Can’t Go Back If There’s Nothing To Go Back To』だろう。
 
ひょっとしたら、これまでリリースしてきたアルバムの中で一番いいかもしれない。最後の最後にバンドの最高傑作を更新したことには大きな意味がある。因みに『You Can’t Go Back If There’s Nothing To Go Back To』はUKアルバム・チャートの65位、UKカントリー・チャートの1位というリッチモンド・フォンテーン史上最高のチャート・アクションも記録している。
 
レコーディングでベースを演奏したのは、デラインズのベーシスト、フレディ・トルヒヨだが、ポートランドで行われたレコーディングにはデイヴもデンマークから駆けつけ、アコースティック・ギターで参加した。最後にこれだけの力作を残せたんだから、メンバー達も満足だろう。約20年、彼らの音楽を聴きつづけてきた僕も満足だ。
 
ひょっとしたらルセロに出会う前のNo.1フェイバリット・バンドかもしれない。ポートランドまでリッチモンド・フォンテーンのライヴを見に行き、ライヴの後、ウィリーにストリップとビールをおごってもらったことは、いい思い出だ。
 
小説家としてのデビュー作だった『The Motel Life』に続いて、『Lean On Pete』がイギリス人のアンドリュー・ヘイ(『ウィークエンド』『さざなみ』)によって映画化されるそうだから、ウィリーは今後、小説家としてますます注目されるにちがいないが、もちろんミュージシャンをやめるわけではない。ひきつづきデラインズを続けるそうだ(因みにエミール・ハーシュ、スティーヴン・ドーフ、ダコタ・ファニング、クリス・クリストファーソンが出演した映画『The Motel Life』の邦題は『ランナウェイ・ブルース』)。
 
 
 
デラインズのメンバーはダムネイションズTXのエイミー・ブーン(Vo)、リッチモンド・フォンテーンのドラマー、ショーン・オールダム、ディセンバリスツのジェニー・コンリー(Key)と彼らの友人達。
 
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The Delines
 
そもそもは妊娠したデボラ・ケリーの代わりに『The High Country』のツアーに参加したデボラの姉、エイミーをヴォーカリストに迎え、バンドを組んでみたいというウィリーの願いが実現したプロジェクトだった。
 
カントリーとソウル・ミュージックが一つに溶け合った美しいデビュー・アルバム『Colfax』をリリースしたデラインズは、リッチモンド・フォンテーン同様、イギリスおよびヨーロッパで歓迎され、その後のツアーも成功を収めている。
 
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Colfax (Decor)
 
これまで自分が歌うために曲を作ってきたウィリーにとって、自分が理想と考えるシンガーに曲を作ることが、彼の創作意欲を刺激したことは想像に難くない。これからは『Colafax』ですでにアピールしてみせたように単にリッチモンド・フォンテーンの延長上に止まらない活動が期待できそうだ。

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