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Low Cut Connieの新作に見る現在のガレージ・ロック・シーンにおけるダップトーン・サウンドの人気

Lowcutconnie

点と点を繋げる楽しみ。そして、点と点が偶然、繋がる楽しみ。ともに音楽を聴く醍醐味だ。
 
“全人類のための新しいブギ”を掲げるロウ・カット・コニーは、フィラデルフィアのロックンロール・バンド。
 
結成は10年。それまでレディーフィンガーズ名義でギターやピアノを弾きながらソロ・アーティストとして活動していたアダム・ウェイナー(ヴォーカル、ピアノ)とイギリスのバーミンガムでスワンプミートというロカビリー・バンドをやっていたダン・フィネモア(ドラムス、ギター)がニューヨークで出会い、意気投合したことがバンド結成のきっかけだった。
 
彼らがこれまでリリースしたアルバムは、今年4月にリリースした『Hi Honey』を含め計3枚。12年にリリースした2ndアルバム『Call Me Sylvia』収録の「Boozophilia」が今年8月、ホワイトハウスが発表したオバマ大統領のSpotify Summer Playlistの1曲にボブ・ディランやジャスティン・ティンバーレイクらとともに選ばれ、メンバー達をビビらせたことも含め、アメリカでは徐々にではあるけれど、注目されはじめているようだ。
 
彼らの存在を、どこでどんなふうに知ったのか忘れてしまったが、聴きそびれていた『Hi Honey』を慌てて買い求めたのは、同アルバムがトーマス・ブレネックのプロデュースの下、ブルックリンにある彼のダンハム・スタジオでレコーディングされていることに気づいたからだ。
 
トーマス・ブレネック! ご存知、現代におけるヴィンティージなリズム&ブルース/ファンク・サウンドを推進するブルックリンのレーベル、ダップトーン・レコードのハウス・バンド、ダップ・キングスの元ギタリストである。ダップトーンの看板アーティスト、シャロン・ジョーンズのアルバムはもちろん、ダップトーンやダップ・キングスの存在が世界中に知られるきっかけになったエイミー・ワインハウスの『バック・トゥ・ブラック』でもプレイ。現在はメナハン・ストリート・バンド、ブドス・バンドのメンバーとして活動するかたわら、プロデューサー、エンジニア、セッション・プレイヤーとしてもさまざまなレコーディングに参加している。
 
どうやら今、ガレージ・ロック・シーンではダップトーン・レコードやダップ・キングスのサウンドが人気らしい。そんなことを感じはじめたのは、レイニング・サウンドの『Shattered』(14年7月)とジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンの『Freedom Tower No Wave Dance Party 2015』がともにブルックリンにあるダップトーン・レコードのスタジオでレコーディングされていたからだった。
 
Shatteredjkt Shattered / Reigning Sound
 
Freedomtowerjkt Freedom Tower No Wave Dance Party 2015 / The Jon Spencer Blues Explosion
 
 
因みにジョン・スペンサーはダップトーン・スタジオでレコーディングするにあたって、レイニング・サウンドのグレッグ・カートライトに使い勝手を尋ねたそうだが、その後、ブラック・キーズのダン・オーバックが新たに始めたジ・アークスのメンバーにダップ・キングスのメンバーが3人いることを知ったとき、点と点が見事に繋がっていった。
 
Yoursdreamilyjkt Yours, Dreamily / The Arcs
 
 
そして、ロウ・カット・コニーの『Hi Honey』である。ガレージ・ロック・シーンにおけるダップトーン・サウンドの人気は、僕の中で確信に変わった。
 
そう言えば、ブラック・リップスが14年3月にリリースした『Underneath The Rainbow』は全12曲中4曲がトーマス・ブレネックとバンドの共同プロデュースによるダンハム・スタジオ・レコーディングだった。さらに遡れば、ブラック・リップスが11年にリリースした『Arabia Mountain』は『Back To Black』にダップ・キングスを起用したマーク・ロンソンのプロデューサーだったんだから、ガレージ・ロックにおけるダップトーン・サウンドへのアプローチはそこから始まったと考えてもいいかもしれない。
 
Underneaththerainbowjkt Underneath The Rainbow / Black Lips
 
 
ともあれ、ダップトーン・サウンドにアプローチするガレージ・ロック・バンドはこれからも現れるにちがいない。ヴィンテージなサウンド以外に彼らがダップトーン・サウンドの何を求めているのかについても考えながら、注目してみたい。
 
ところで、“全人類のための新しいブギ”を掲げるロウ・カット・コニーだが、『Hi Honey』を聴くかぎり、彼らの音楽性はブギ一辺倒というわけではなく、なかなか幅広い。
 
 
ガレージ・ロック風だったり、パブ・ロック風だったり、あるいはジェリー・リー・ルイス風だったり、フェイセス風だったりしながら、リズム&ブルース、ゴスペル、スワンプ・ロック、ニューオーリンズ・サウンドなど、さまざまな要素を散りばめ、最後まで飽きさせない。ダップ・キングスのホーン隊やコーラス隊の起用も見事にはまって、これぞロックンロールと言えるアルバムが完成。
 
スペシャル・ゲストとして、チューン・ヤーズことメリル・ガーバス、ディーン・ウィーン(ウィーン)、グレッグ・カートライト、そして『ザ・ソプラノズ』のビッグ・プッシー・ボンペンシエロ役でお馴染みの俳優、ヴィンセント・パストーレが参加している。
 
 
Hihoneyjkt
Hi Honey / Low Cut Connie (Contender)

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