« 2014年4月 | トップページ | 2014年6月 »

2014年5月

Ryley Walkerが誘うアメリカン・プリミティヴィズムの世界

Ryleywalker_3

最初、ライリー・ウォーカーの存在を知ったとき、いつの時代のミュージシャンなのか判然としないと言うか、現代のミュージシャンとはにわかには信じられない佇まいに興味を持った。
 
彼が奏でる60年代のブリティッシュ・フォークの影響が色濃い音楽はもちろん、その風貌も、アルバムのアートワークも、ミュージック・ビデオもそのすべてが時代を超越していた。
 
 
もちろん、ウォーカーは2014年の今を生きるシンガー・ソングライター/ギタリストだ。
 
イリノイ州ロックフォード出身の24歳。
 
キャリアのスタートは12歳の時に組んだパンク・バンド。サークル・ジャークスの大ファンだったそうだ。
 
その後、ジャズやニック・ドレイクを通してブリティッシュ・フォークに魅せられたウォーカーはフィンガー・ピッキングによるギター・プレイを追求。同時にウルフ・アイズや日本のメルツバウといったノイズ・ミュージックにも夢中になったという。大学中退後はシカゴのエクスペリメンタル/ノイズ・ミュージック・シーンで活動していたと伝える記事もある。
 
その彼がなぜ、再びブリティッシュ・フォークの影響が色濃い音楽を演奏するようになったのかはちょっとわからないが、ともあれ、今年4月にリリースしたデビュー・アルバム『All Kinds Of You』はジャズの影響やヴィオラの音色が醸しだす幽玄の世界がすでにバート・ヤンシュやジョン・レンボーンといったブリティッシュ・フォークのミュージシャンのみならず、ティム・バックリー、ティム・ハーディンらの名前を引き合いに数々の音楽メディアから絶賛されている。
 
中には、フィンガー・ピッキングによるギター・プレイ(全9曲中3曲がインストだ)を取り上げ、アメリカン・プリミティヴ・ギターの新鋭と謳うメディアも少なくない。
 
個人的にはジム・モリソンを連想させるウォーカーの歌声も大きな魅力だと思うのだが、確かにウォーカーが奏でるギターは心の奥までするりと入り込み、忘我の境地に誘う心地よさがある。
 
リリースはプリミティヴという言葉が使われるアメリカのルーツ・ミュージックの発掘に力を注いでいるレーベル、トンプキンス・スクエア。
 
ギターを弾かない僕はこれまでアメリカン・プリテミティヴ・ギターについてはそれほど積極的に聴こうと思ったことはないが、ウォーカーやウォーカーのレーベル・メイトであるダニエル・バックマンをはじめ、ウィリアム・タイラー、スティーヴ・ガン、シアン・ニュージェントら、アメリカン・プリミティヴ・ギターの創始者、ジョン・フェイヒーの後継者と目されている若いミュージシャンは少なくないらしい。
 
どうやら新しい扉が開いてしまったようだ。
 
こいつはやばいなぁと思いながら、扉の向こうで待っているにちがいない新たな出会いにわくわくしている。
 
Allkindsofyou
All Kinds Of You / Ryley Walker (Tompkins Square)

|

The Black Keysが「青ざめた」理由

20140523_114929

ミュージック・マガジン6月号でザ・ブラック・キーズ2年半ぶりの新作『ターン・ブルー』について巻頭の記事を書かせていただきました。
 
なぜ、彼らが「青ざめた」のかその理由を考察してみました。
 
ご興味のある方は、ぜひ! 星野源の表紙の号です。
 
Turnblue
Turn Blue / The Black Keys (ワーナー)
 
 
 
 

|

Jessica Lea Mayfieldのルックスが激しく変わりすぎる件

Billyreidweatherup_031214_0144

Billyreidweatherup_031214_0123

この写真を見てから、今年のSXSWでジェシカ・リー・メイフィールドのライヴを見逃したことをずっと悔やんでいる。

オハイオ州ケント出身の24歳のシンガー・ソングライター。

15歳の時、自主制作した100枚限定のEPがブラック・キーズのダン・オーバックの手に渡ったことをきっかけにオーバックのバックアップでデビューのチャンスをつかんだ。オーバックは彼女が作るダークかつメランコリックな曲に惚れこんだそうだ。

ノンサッチからATOに移籍して、今年4月にリリースした『Make My Head Sing...』は、これまでオーバックのプロデュースで2枚のアルバムを作ってきた彼女がオーバックの元を離れ、初めて作ったアルバムだ。

彼女自身とバック・バンドのベーシストであり、夫でもあるジェシー・ニューポートによるプロデュースの下、メンバーだけでレコーディングに挑戦。


ダークかつメランコリックなソングライティングは変わらないものの、轟音ギターが唸るグランジ・サウンドが若干の驚きとともに話題になっているが、驚きと言えば、むしろ彼女のルックスの変化だろう。

Jlm07

垢抜けない少女が・・・。


Jlm08

徐々に変わっていき・・・。


Jlm09

とうとうこうなっちゃった!

1619532_10152251417083896_142934285    

一体、何があったの?!

いや、俺は好きだけどね。




Jessicaleamayfieldmakemyheadsing
Make My Head Sing... / Jessica Lea Mayfield (ATO)

|

Chris Carrabbaが新バンド、Twin Forksで取り組む新たな挑戦

Tf_2

海外ほどではないにせよ、ファーザー・シームズ・フォーエヴァーだって、ダッシュボード・コンフェッショナルだって、ここ日本でもそれなりに人気があったんだから、クリス・キャラバが新たに始めたツイン・フォークスだって、もっと注目されてもいいと思うんだけれど。

僕が気づいていないだけなのか、日本ではそれほど話題になっていない。どうして?

ひょっとしたら、ファーザー・シームズ・フォーエヴァーあるいはダッシュボード・コンフェッショナルに対する思い入れが強すぎるあまり、「今後、その2バンドで何かやる予定はない」と明言して、ツイン・フォークスに専念しているクリスのことを認めたくないというファンが少なくないのかもしれない……なんて。


ツイン・フォークスのスタートは2011年。

クリスが11年に行ったソロ名義のUSツアーに持っていくため、『Covered In The Flood』というカヴァー・アルバムを作ったことがきっかけになったのかもしれない。ファーザー・シームズ・フォーエヴァーのエモコアともダッシュボード・コンフェッショナルのインディ・ロックとも違う音楽をやろうと考え、クリスが仲間のミュージシャンに声をかけ、セッションを楽しんでいるうちに紅一点メンバーを含む4人組のバンドに発展した。

クリスがツイン・フォークスでやろうとしているのは、子供の頃聴いていたフォークとトラディショナルなソングライティングだ。クリスはガイ・クラーク、タウンズ・ヴァン・ザントといったフォーク/カントリーに影響を受けたシンガー・ソングライターを聴きながら育ったそうだ。

実はダッシュボード・コンフェッショナルを始めた時もトラディショナルなフォーク・ミュージックに挑戦しようと考えたという。しかし、中途半端なやり方でしかできないならやらないほうがいいと考え、敢えてその影響は封印したそうだ。

「それほど思い入れがなければ、逆に封印しようとは思わなかった。だけど、俺はフォークが大好きだったからね」

その後も自分が同じように愛するフォークとパンク/ハードコアをひとつにできないものかと思い悩んだこともあったらしい。

「ブーツを踏み鳴らすフォーク・ロック」とクリスが掲げるツイン・フォークスはクリスにとって原点回帰であると同時に新たな挑戦でもあるようだ。

今年2月にリリースしたデビュー・アルバム『L.P.』を聴いても、単に自分が聴いてきたフォークの再現に止まらない、新しい表現を求めようとしていることが窺える。マルーン5を手がけたアマール・マリクとロボポップを共同プロデューサーに迎えているところもおもしろい。

マンドリンと歌を担当する紅一点メンバー、スージー・ゼルディンとクリスのハーモニーをもっとフィーチュアしたほうが曲が映えるとか、ダッシュボード・コンフェッショナルみたいな曲があるとか、まだバンドのサウンドを確立しきれていないところはあるものの、それはのびしろと考え、今後の成長に期待したい。

クリスが真剣に取り組んでいるのだ。僕はツイン・フォークスを支持する。

因みに現在、ツイン・フォークが行っているアメリカ・ツアーには新婚旅行中のスージーに代わって、フロリダの姉妹デュオ、バロン・シスターズが参加している。

Tflp

L.P. / Twin Forks (Dine Alone)

|

« 2014年4月 | トップページ | 2014年6月 »