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2013年10月

旧友に助けられ、Deadstring Brothersが復活

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アルバムをリリースするたび、バンドのラインナップが違うのはデッドストリング・ブラザーズが元々、カート・マーシュキ(Vo, G)のソロ・プロジェクトとしてスタートしたからだが、3つのラインナップを使いわけ、ツアーを続けているうちにマーシュキは3つのバンドのスケジュールをやり繰りすることに疲れてしまったという。

「自分がミュージシャンではなく、マネージャーか何かのように思えてきたんだ」

11年頃、デッドストリング・ブラザーと名乗って、マーシュキがワンマン・バンド・スタイルでライヴをやっていたのは、そんな理由からだった。ヴォーカル・パートを分けあっていた女性シンガー、マーシャ・マルジャがツアーをリタイアしたこともバンドを解消するきっけかになったようだ。

これからはソロ・アーティストとしてやっていこう。一度はそう考えたマーシュキだったが、デトロイト時代の友人で、ホワイティー・モーガン&ザ・セブンティー・エイティーズの元メンバーだったJD・マック(B)からバンド編成を持ちかけられると、デッドストリング・ブラザーズを続けることを決意。現在、拠点としているナッシュビルでポコ、ディクシー・チックス、ウィリー・ネルソンらと共演歴があるベテラン・ミュージシャンの助けを借りて、前作から4年ぶりに『Cannery Row』を完成させた。

ミック・ジャガーを思わせるマーシュキの歌声の印象が強すぎるせいか、大きな変化はないように聴こえるが、その『Cannery Row』はナッシュビルのミュージシャンが加えたカントリー・テイストのせいなのか、70年頃のローリング・ストーンズを彷彿させると言われてきたこれまでとは一味違う作品になっている。マーシュキが曲に込めたメランコリックな味わいも新しい。

個人的には、前作『Sao Paulo』がピンと来ない作品だったから今回の復活はうれしかった。リリースから半年経った今も子とあるごとに引っ張り出してきては聴いている。13年のベスト10入りは確実か。

『Cannery Row』リリース後、バンドはマーシュキ、マック、そしてマックがミシガン州グランド・ラピッズから連れてきたと思しきネイサン・カリッシュ(Dr)というラインナップで精力的にツアーを続けている。因みに、ライヴのブッキングをはじめ、かつてマーシュキを萎えさせた事務仕事はマックがやっているそうだ。

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Cannery Row / Deadstring Brtohers (Bloodshot)

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J.D.Wilkes & The Dirt Daubersが電化した理由

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レジェンダリー・シャック・シェイカーズのエネルギッシュなフロントマン、J.D.ウィルキス大佐(※)が妻のジェシカと始めたダート・ドーバーズが電化。プロデューサーにチーター・クローム(ex.デッド・ボーイズ)を迎え、ワイルドなブルース・ロックのアルバム『Wild Moon』を完成させた(電化を機にバンド名もダート・ドーバーズからJ.D.ウィルキス&ザ・ダート・ドーバーズに改名)。

※ここで大佐と訳しているカーネル・J.D.ウィリキスのカーネルは本当は、カーネル・サンダースのカーネルと同じ名誉市民の称号なのだが、大佐といったほうがなんかおもしろいから間違いに気づいてからもそのまま大佐とさせてもらっている。

今回、プレストン・コーン(Dr)とともにラインナップに加わったロッド・ハムダラーは、ジーザス・リザードに戻ったデュエイン・デニソンに代わってシャック・シェイカーズに加入したギタリストだ。

元々、オールドタイミーかつアコースティックなフォークを演奏するサイド・プロジェクトだったダート・ドーバーズが電化および本格的にバンド化したことで、12年に活動休止したシャック・シェイカーズの復活がまた遠のいたと思ったのだが、どうもシャック・シェイカーズはドラムのブレット・ホイッテイカーが心臓病を抱えているため、活動を再開できないようだ。

もちろん、ダート・ドーバーズも『Wild Moon』のような力の入ったアルバムを作ってくれるんだから大歓迎なのだが、ロバート・プラントに負けないくらいシャック・シェイカーズが大好きな僕としては、彼らが持っていたキ○○イじみた勢いやトム・ウェイツが提唱するシューラル(シュール+ルーラル)な魅力がちょっと懐かしくなってしまうのだった。

Lss シャック・シェイカーズ時代の大佐の雄姿

まぁ、シャック・シェイカーズ時代、最前列で見ている女性ファンのおっぱいを揉むという荒技で鳴らした大佐も奥さんの前ではそうそう無茶もできないのかな、とそんなふうに想像するとちょっと楽しい。

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Wild Moon / J.D.Wilkes & The Dirt Daubers (Plowboy)

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いつもやりすぎるところがHank Williams IIIのいいところ

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宿敵とまで言っていたメジャー・レーベルを離れ、自主レーベルを始めてから、ハンク3ことハンク・ウィリアムズ3世は誰からも横槍を入れられることなく、創作意欲の赴くまま、精力的に作品を作りつづけている。

11年に2枚組のカントリー・アルバムにメタル・アルバム2作品を加えた計3タイトルを同時リリースしたその彼が今回も2枚組のカントリー・アルバム『Brothes Of The 4×4』とパンク・アルバムの2タイトルを同時リリースして、ファンを狂喜させた。

常にやりすぎるところがハンク3のいいところ。

便宜上、カントリーと言われてはいるものの、パンク/ハードコア/メタルおよびヒップホップ、さらにはシュール・リアリスティックなエフェクトも取り入れたサウンドは、もはやカントリーとは似て非なるもの。やはりハンク3が自ら掲げるヘルビリーという言葉がふさわしいと思う。

特に今回の『Brothes Of The 4×4』はドラム・パートすべてを自ら担当したことで、これまで以上にメタルに出自を持つミュージシャンとしての才能を、カントリーというフォーマットの中で印象づけるものになっている。曲によってはツーバスも使っているんじゃないか?!

中にはハンク3がメタルやパンクの要素を取り入れることに批判的なファンもいるようだが、そもそもそういう人は彼に何を求めているんだろうか? 最初から縁がなかったんだと思ったほうがいい。

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Brother Of The 4×4 / Hank3 (Hank3)

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Lindi Ortegaが歌うナッシュビルの光と影

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トロント生まれ、現在はナッシュビル在住のシンガー・ソングライター、リンディ・オルテガ。

10年ほどカナダで活動したのち、ナッシュビルに拠点を移したそうだ。

トレードマークはゴス混じりのジプシー・ファッションと真っ赤なカウボーイブーツ。そして黒髪のエキゾチックなルックス。アイッリシュとメキシカンのハーフらしい。

そのルックスに惹かれ、彼女のアルバムを手に取った。その後、ソーシャル・ディストーションとツアーしたと聞き、がぜん興味が湧いた。便宜上、ジャンルはカントリーとされているけれど、只者ではないと思った。おまけに「Murder Of Crows」のビデオでは死者の日を連想させる骸骨メイクしてるし、ライフル銃も持ってるし!

今月、彼女がリリースした6作目のアルバム『Tin Star』は、トゥワンギーなギターの音色とビートが前作よりも強調され、ソーシャル・ディストーションのツアー・サポートに起用されるのも納得の1枚。「All These Cats」なんてロカビリー・ナンバーもやっている。

キラーズのフロントマン、ブランドン・フラワーズのソロ・ツアーにバッキング・シンガーとして参加した。赤いドレスがリンディ

成功を求め、多くのミュージシャンが集まるナッシュビルの夢と現実、光と影をテーマにした『Tin Star』。

アルバム表題曲はリンディのメランコリックな歌声がしみるバラード。夢を追い求めたまま迷子になったような気持ちを歌いながら同じような境遇にある同志に寄せたシンパシーが曲の世界に広がりを与えている。

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Tin Star / Lindi Ortega (Last Gang)

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奇跡体験!アンビリバボー!

17日の夜、『奇跡体験!アンビリバボー!』をたまたま見ていたら、アメリカにいる知人が取り上げられていてびっくりした。

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早速、知人にそれを伝えたところ、番組のビデオを手に入れられないかと言うので、テレビ局に電話して、「昨夜、そちらの番組に友人が出てて…」と伝えると、案の定、おかしい人間と思われたみたいで、いきなり「上の者に変わります」と言われた。

まぁ、そりゃそうだろう。

結局、「本人から連絡がもらえるならまだしも、テレビ局が一視聴者に番組の録画ビデオを渡すことは難しい」とのこと。至極納得。

知人には取材スタッフの連絡先がわかるならそっちに聞いたほうが確実だよ、と伝えた。

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Deer Tick 対 Those Darlins

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ディア・ティックとゾーズ・ダーリンズ。もちろん、両者が対立しているわけではない。

しかし、2つのバンドの因縁や両者がほぼ同じタイミングで復活あるいは再起を印象づける新作をリリースしたことを考えると、ディア・ティック対ゾーズ・ダーリンズと言ってみるのもおもしろいかもしれない。

Deerticknegativity 「Negativity」(Partisan)

『Negativitiy』と名づけられたディア・ティックの新作がジョン・ジョセフ・マッコーリー3世(Vo, G)が予告したように「ダークな作品」になった理由の一つがジョンとゾーズ・ダーリンズのニッキ・ダーリン(G, Vo)の破局だった。2人の間に何があったか知らない。別れの他にも不幸な出来事が重なって、ジョンは相当落ちこんだそうだ。一時は化学物質にも溺れたようだ。

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こんな楽しい日もあった・・・。左がジョンとニッキ

ダークと言うよりもメランコリックという表現がふさわしい『Negativity』にはジョンの傷心と再起が反映されているという。

一方、ゾーズ・ダーリンズは3作目となる『Blur The Line』で女2+男2という新ラインナップでの再スタートを印象づける。

Thosedarlinsblurthelinecover11300x 「Blur The Line」(Oh Wow Dang)

そこには、ろくに楽器も演奏できない女の子3人がバンドを始めた時の怖いもの知らずの無邪気さ(それはデビューした時の彼女達の大きな魅力だった)は、もう感じられない。

前作『Screws Get Loose』は急にお行儀がよくなっちゃったような、考えすぎるあまりこじんまりとまとまってしまったような作品だった。ジェシー・ダーリン(G, Vo)が独り相撲をとっているようなところも気になった。

その後、ケリー・ダーリン(G, Vo)が脱退。そして、前述したようにニッキとジョンの破局。

バンドはどうなっちゃうんだろうと思っていたら、彼女達はひと回り大きくなって帰ってきた。

成長は意識の変化は彼女達が作る曲はもちろん、これまで全員で名乗っていたダーリン姓を、それぞれの本名に戻したところからも窺える。

人生にはいろいろある。しかし、ディア・ティックもゾーズ・ダーリンズも確実に前よりもいいと思える作品を作り上げた。ファンとしてこんなうれしいことはないではないか。

因みにニッキと恋に落ち、ロード・アイランド州プロヴィデンスから彼女が暮らしていたナッシュビルにやってきたジョンは現在、新しい恋人であるヴァネッサ・カールトンとニューヨークで暮らしているらしい。

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