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2011年10月

Deer Tickの新作は彼らの最高傑作だ

Deertick2

こんなに期待して、それほどでもなかったらどうしよう?! と、正直、聴くのがちょっと怖かったんだが、彼らはこちらの期待をはるかに上回る新作を届けてくれた。

不世出のソングライター、ジョン・ジョセフ・マッコーリー3世(Vo, G)率いるロード・アイランド州プロヴィデンスの5人組、ディア・ティック。

彼らの4作目のアルバム『Divine Providence』は、彼らの最高傑作だと、とりあえず言ってしまいたい。

「今の俺達の本当の姿を見せて、フリーク・フォークだとかオルタナ・カントリーだとかってレッテルを貼った連中をギャフンと言わせてやるんだ!」

そんな目標がニルヴァーナ臭がにじむ変型ブギの「The Bump」以下、ロック色濃い多彩な楽曲に実った。

リリース前にメンバーが言っていたニルヴァーナ、ローリング・ストーンズ、ニルソンの影響に加え、クラッシュ、いや、コックニー・リジェクツや、オールディーズを連想させる曲もある。

ドラムのデニス・ライアンが歌う「Clowninaround」は、ほのぼのとしたフォーク・ナンバー。なんでも、曲調とは裏腹にキラー・クラウンの異名を持つ連続殺人鬼、ジョン・ウェイン・ゲイシーのドキュメンタリーからインスピレーションを得たんだそう。

「Walking Out The Door」で歌声も披露したイアン・オニール(G, Vo)が作った「Now It's Your Turn」なんてバラードも収録されている。

「Divine Providence」というかなり反キリスト教的なメタル・ナンバーもあったらしい。結局、その曲はアルバムには収録されず、タイトルだけが残ったようだ。

アルバムを聴きながらどことなくリプイレスイメンツを連想させる、と思っていたら、最後の曲から約30分の空白後、ポール・ウェスターバーグの「Mr.Cigarette」のカヴァーがヒドゥン・トラックとして収録されていた。

「線路は続くよどこまでも」の替え歌?!

ウェスターバーグがMr.F名義でリリースした7インチ・シングルのデジタル・ボーナス・トラック「Grandpaboy's Last Stand」に収録されているレア・トラック。

そう言えば、ジョンはデルタ・スピリット、ドウズのメンバーと組んだサイド・プロジェクト、ミドル・ブラザーのアルバムでもリプレイスメンツの「Portland」というオリジナル・アルバム未収録曲をカヴァーしていたっけ。

ジョンはリプレイスメンツおよびポール・ウェスターバーグの大ファンにちがいない。

新作を、リプレイスメンツっぽいと言ってもきっと許してくれるだろう。

Divineprovidence

Divine Providence / Deer Tick (Partisan PTSNO31CD)

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Jack's Mannequin インタビュー

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全米チャートの9位に初登場したジャックス・マネキンの最新3rdアルバム『ピープル・アンド・シングス』が今週、日本でもリリースされた。

19歳の時、デビューした5人組、サムシング・コーポレイトのフロントマンとして大きな成功を収めたアンドリュー・マクマホンが始めたソロ・プロジェクト。

美しいピアノの音色とともにセンシティヴなメロディーを紡いできた。

前作から3年ぶりのリリースとなる『ピープル・アンド・シングス』は率直さという意味で、ジャックス・マネキンのデビュー・アルバム『エヴリシング・イン・トラジット』に近いヴァイブを感じさせる。

曲の幅を広げようと意識した節も窺える前作『グラス・パッセンジャー』はレコーディング・プロジェクトとしてのジャックス・マネキンの可能性を追求した意欲作だったが、新作のほうがよりアンドリューらしいと感じるリスナーは、きっと多いのだろう。

生きる喜びを歌った作品--新作をそう表現するアンドリューにインタビューした。

●3年ぶりの新作がついにリリースされましたね!

「最高の気分だよ。レコーディングには全力で取り組んできたからね。その努力がようやく報われる日が来たんだ」

●それにしても、なぜ前作から3年もかかってしまったんですか?

「本当のことを言えば、去年の夏にはリリースしたかった。だけど、1年間あれこれやって、僕が本当に作りたいのはこれじゃないと思ったから、始めからやり直すことにしたんだ」

●新作を聴き、前作の『グラス・パッセンジャー』よりもデビュー・アルバムである『エヴリシング・イン・トランジット』に近い生々しさや率直さ、勢いを感じました。

「ジャックス・マネキンのライヴ・パフォーマンスを反映させた作品なんだよ。あれこれ作りこみすぎて、複雑な作品にしたくなかったんだ」

●新作のレコーディングにはボビー・ロウ・アンダーソン、ジェイ・マクミランといった、これまでツアーをともにしてきたバンド・メンバーに加え、ティム・ピアースやクリス・チェイニーら、有名なセッション・プレイヤーも参加していますね。

「音楽を作るうえで、最高の喜びは、新たな出会いがもたらした影響が自分自身を成長させることだ。このアルバムは参加メンバーがお互いに影響しあえたという点で、全員にとって大きな意味があるものになったんだ」

●また、今回はリライアント・Kのマット・ティエッセン、アメリカン・バングのジャレン・ジョンストンといった同世代のソングライターと曲を共作していますね。そのコラボレーションはどういういきさつで実現したんですか?

「マットとジャレンは長年の友人なんだ。今回、新しいサウンド・プロダクションを試すと同時に、ソングライターとしても新しいことに挑戦してみるには、いいタイミングだと思ったんだよ」

●前作は全米8位という記録を残しましたが、新作はどれだけの成功が残せると期待していますか?

「常に前作よりも大きな成功が求められていることはわかっている。だけど、ツアーしたり、レコードを作ったり、音楽を作りながら生活できるだけで、僕は幸せなんだ」

新作からの1stシングルのビデオ

11月のプロモーション来日に続いて、来年3月の来日公演も決定!

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People and Things / Jack's Mannequin (ワーナー WPCR-14272)

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The Black Keysが新曲のビデオを公開

Theblackkeys

12月6日にニュー・アルバム『El Camino』をリリースするロッキン・デュオ、ザ・ブラック・キーズがアルバムからの1stシングル「Lonely Boy」のビデオを公開した。

彼らには珍しい軽快かつスピーディーなロックンロール。

そう言えば、新作はクラッシュ、クランプス、古いロックンロール、ロカビリー、ガレージ・ロックにインスピレーションを求めたそうだ。

ブルースを立脚点にヒップホップにもアプローチしてきた、これまでとはまた違った作品になりそうな予感。

楽しみ。

12月21日には日本盤もリリースされる。

Elcamino

El Camino / The Black Keys (ワーナー WPCR-14369)

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Jesse Sykes & The Sweet Hereafter インタビュー

Jesse

最新アルバム『マーブル・サン』における変貌を、意外と感じた僕は、ひょっとすると、彼女達の音楽の本質を、しっかりと聴きとっていなかったのかもしれない。

ジェシ・サイクス&ザ・スウィート・ヒアアフター。

ルーツ・ロック・ファンの間では、元ウィスキータウンのギタリストと、その恋人が始めたバンドとして知られていたシアトルの4人組だ。

2002年、タッカー・マーティンがプロデュースした『Reckless Burning』でデビュー。その後、バースーク・レコードと契約して、『Oh, My Girl』(2004年)、『Like, Love, Lust & The Open Halls of The Soul』(2007年)と順調にアルバムをリリース。ギターをトゥワンギーに響かせたスウィート・ヒアアフターのアンニュイなカントリー・サウンドは、美しさと謎めいた魅力を持ったジェシの容貌とともにアメリカ、ヨーロッパで支持されてきた。

前作から4年ぶりとなる『マーブル・サン』はバースークを離れ、自らのステーション・グレイからリリースした4作目のアルバム。

アンニュイという意味では、彼女達の魅力は変わらないものの、前3作とは明らかにベクトルが変化したことを思わせるギターを軸にしたサイケデリック・サウンドは、前作と今回のアルバムの間に僕らが予想もしていなかった跳躍があったことを印象づける。

フィルが狂おしいギター・プレイを繰り広げる後半は、まさに神懸かり的と言ってもいい。老婆のようなしゃがれ声に変化したジェシの歌声に戦慄。

そんな変化は前作発表後、サンO)))、ボリス、アース、ブラック・マウンテンら、ヘヴィー・サイケ・バンドと共演したことがきっかけだったらしい。しかし、思えば、デビュー・アルバムの冒頭でギターのフィードバック・ノイズが意味ありげに鳴らされたときすでに『マーブル・サン』の誕生は約束されていたのかもしれない。

4作目にしてついに日本デビューを飾ったバンドを代表して、ジェシがインタビューに答えてくれた。

つづき

『マーブル・サン』のオープニング・ナンバー

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Marble Son / Jesse Sykes & The Sweet Hereafter (Daymare  DYMC-146)

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Scott H. Biramはワンマン・バンド

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自作自演にはちがいない。

しかし、シンガー・ソングライターではない。

演奏はほぼギター一本。

しかし、誰もが思い浮かべる弾き語りのイメージからはかけ離れている。

じゃあ、何だ?!

そんな問いに答えるようにスコット・H・バイラムは自ら「ワンマン・バンド」と謳っている。

確かに床を踏みぬいてしまうんじゃないかと心配させるほど力強いフットストンプとともにエレキ・ギターを唸らせ、咆哮するバイラムの野蛮な演奏は、そんじょそこらのバンドよりも迫力がある。

テキサス州オースティンのブルースマン。

ならず者イメージを強烈に打ち出しながら、2000年前後から活動を続けてきた。

最新アルバムは、この10月、シカゴのブラッドショット・レコードからリリースした『Bad Ingredients』。

曲によってはキーボードやホーンも若干使いながら、ブルースに止まらず、フォーク/カントリー・ナンバー、さらにはパンク/メタルの影響も窺わせるハード・ロッキンな曲もやっているという意味では、これまでの作品と変わらない。

しかし、今回はそこに味わい深さが加わった。

テネシーのオルガン&ドラム・デュオ、ブラック・ダイアモンド・ヘヴィーズと共演した曲も含む前作『Something's Wrong / Lost Forever』も良かったけど、グロいアートワークも含め、今回はもっといい。

シビれるね。

そう言えば--。

ブラッドショットと契約する以前、バイラムがまだ手作りに近いCDを自主リリースしていた頃、入手が難しかった彼のCDを求めて、本人にメールを送ったことがある。

すると、彼のお父さんから返事が来た。

「息子は交通事故に遭い、入院している」と。

車を運転中、対向車線をはみ出してきた大型トラックと正面衝突したそうだ。

バイラムのウェブサイトに載っている、ぐちゃぐちゃに潰れた車の写真が大事故だったことを物語っている。

彼のお父さんとどんなやりとりをしたか忘れてしまったが、結局、バイラムの自主CDを扱っているサンマルコスのサンダンスというレコード・ショップから購入することができた。

「日本に荷物を送るのは初めてなんだけど、住所の書き方はこれでいいの?」なんて確認のメールをもらったっけ。

調べてみたら、もう8年も前のことだった。

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Bad Ingredients / Scott H. Biram (Bloodshot  BS190)

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[Champagne]@渋谷WWW 

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渋谷WWWで[Champagne]のライヴを見た。

東名阪7ヶ所(+追加1ヶ所)を回るワンマンライヴ・ツアー「Me Against The World tour 2011 ~やっぱ沖縄じゃね?~」の終盤戦。

1stアルバムの曲やオムニバスに提供した曲、さらにはちょっと意外なカヴァーも披露。6月のリキッドルーム公演とはまた違ったステージを楽しませてもらった。

リキッドルームよりも会場が小さかったこともあって、より生々しいバンドの姿を見ることができたのがよかった。

演奏もより荒々しくなっていたんじゃないか。

ライヴを見て、「このバンド、いいな」と思うことはあっても、「このバンド、かっこいい!」と思うことは正直、そんなにないけれど、[Champagne]はそんなことを思わせる数少ないバンドの一つであることを改めて実感。

最後の最後にヴォーカル&ギターの川上洋平がアカペラで熱唱したオアシスの「Champagne Supernova」もぐっと来た。

12月14日にはNEWシングル「spy」がリリースされる。

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THE DAMNED 結成35周年を迎えた地獄に堕ちた野郎ども

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ダムド。

セックス・ピストルズ、クラッシュよりも衝撃的だった。個人的には。

どのアルバムも好きだけど、やはり『地獄に堕ちた野郎ども』と『マシンガン・エチケット』。

この2枚はそれこそ盤が擦り切れるぐらい聴いた。

90年代半ば、バッド・レリジョンとオフスプリングを聴いたときは、正直、「『マシンガン・エチケット』じゃん!」と思った(ごめんなさい。どうかしてたんです)。

その彼らが来年1月、来日することが決まった。

詳細

結成35周年を記念するツアーの延長戦(?)だそうだ。

09年のPUNKSPRINGはデイヴ・ヴァニアンが病欠したため、キャプテン・センシブルが急遽、ヴォーカルを取った(それはそれでよかったけどね)。

今度こそ。

楽しみにしている。

これも名曲。

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Deer Tickが新曲を披露

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ユージュアル・サスペクツ??

10月24日に4枚目のアルバム『Divine Providence』をリリースするディア・ティックが12日、「レイト・ショウ・ウィズ・デヴィッド・レターマン」に出演。

新作から「Main Street」を披露した。

全員でスーツを揃えちゃって、なんかお行儀良すぎるんじゃない?

そんな柄じゃないだろうに。

ともあれ、24日が待ち遠しい。

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アメリカの新しいワーキングクラス・ヒーロー

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ザ・ガスライト・アンセムがマーキュリー/デフジャム/アイランド・レコードと契約したことを発表した。

ブルース・スプリングスティーンも認めたアメリカの新しいワーキングクラス・ヒーロー。

この2、3年の快進撃を考えれば、メジャー移籍も時間の問題だったのだろう。

舞台をメジャーに移した彼らのさらなる躍進に期待したい。

現在、バンドは来年リリース予定のメジャー移籍第1弾アルバムのレコーディングに向けて、曲作りを励んでいるそうだ。

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ナッシュビルの新星、Nikki Lane

Nikki

ナッシュビルの女性シンガー・ソングライター、ニッキー・レーンが9月27日にリリースした本格デビュー・アルバム『Walk Of Shame』が予想していた以上によかったのでちょっとびっくりした。

アルバムに先駆け、7月にリリースしたシングル「Gone, Gone, Gone」のビデオを見て、なんとなく予想はしていたけど、カントリーのみならず、ロカビリーや60年代のガールズ・グループ、ブリティッシュ・ビートの影響も巧みに取り入れているところがおもしろい。

因みにアルバムの締めくくるのは、マディー・ウォーターズの「I Can't Be Satisfied」のカヴァーだ。

プロデューサーはデイヴ・コブとルイス・ペサコヴ。

前者はシューター・ジェニングス作品におけるプロデュースが有名か。一方、後者はニッキーのレーベル・メイトであるロサンゼルスのインディー・ロック・バンド、フールズ・ゴールドのメンバーだ。

プロデューサーの顔ぶれからは、型通りのカントリーのアルバムを作るつもりなんてなかった、というニッキーの意気込みが窺えるようだ。

実際、あるインタビューで彼女は、南部出身の自分のバックボーンがカントリーであることを認めながらも、自分の音楽について、“アシッド・カントリー”“ドラッギー”という言葉を使い、「型にはまるつもりはない」と言っている。

出身はサウス・カロライナのグリーンヴィル。

元々はファッション・デザイナーを目指していたという。

その夢を叶えるため、高校をドロアップアウトすると、単身、ロサンゼルスに上京。その後、ニューヨークに移り住み、失恋したことをきっかけに歌いはじめた。

曲の作り方は、ロレッタ・リン、ウェイロン・ジェニングス、ジョン・プライン、マール・ハガードから学んだ。

しかし、フレイミン・グルーヴィーズやガン・クラブといったロックンロールも聴いていたという。

なんて素晴らしい趣味の持ち主なんだろう。

もうそれだけでOKだ。

ところで、元々、ファッションの世界に興味を持っていた彼女は現在、High Class Hillbilliesというヴィンテージのファッションおよびアクセサリーのショップをやったり、ナッシュビルのファッション・ブランド、Closet Case Vintageのプロモーション・ビデオでモデルを務めたりもしている。

BGMはタイ・シーガル

Wlkofshame
Walk Of Shame / Nikki Lane (Iamsound  IAM051)

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Lou Barlow (Sebadoh)は猫が好き

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来日ツアーの最終日、本番前の慌しい中、セバドーのルー・バーロウとジェイソン・ローウェンステインにインタビューさせてもらった。

ちょっと予想していなかった、けっこう驚きの発言も含め、インタビューはぜひCDジャーナルの11月号をチェックしていただければ、と。

ところで、ルーの猫好きは有名な話。

今回のツアーでもライヴ中に「猫カフェに行きたい」と言っていたという話を聞き、インタビューの最後に「猫カフェには行ったの?」と尋ねてみたところ、「うん、もちろん行ったよ」だって。

猫カフェで猫と戯れるルーの姿を想像すると、おかしい。

以前は4匹、飼っていたそうだ。しかし、ルーに赤ちゃんが生まれたらやきもちを妬いて、みんな出てっちゃったんだって。

「元々、野良猫で、飼っていたと言うよりは勝手に住みついたという感じだったからしかたないのかな」とルーは言っていたが、なんだかちょっと寂しいなー。

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