« ウィーザーがエピタフ・レコードに電撃移籍 | トップページ | 猫毛フェルト »

メイレイ インタビュー

「永遠のハーモニー」の大ヒットから3年。
メイレイが美メロと冒険心が詰まった新作をリリース

Melee_artistphoto

きっかけはジェントルなピアノの音色フィーチュアしたせつないラヴ・ソング「永遠のハーモニー」の大ヒットだった。

カリフォルニア州オレンジ・カウンティ出身の4人組、メイレイ。

輸入盤から火がついた、彼らの人気はやがて当時、ブームになっていたピアノ・エモの範疇を越えて広がっていき、08年のフジ・ロック・フェスティバル出演を含む3度の来日も実現した。

それから3年。新ドラマーを迎えたメイレイが3枚目のアルバム『ザ・マスカレード』を完成させた。

「永遠のハーモニー」路線の「二人のムービー・スクリーン」他、ロックからバラードまでメイレイ節満載の新作には、同時にアフリカ音楽の影響を取り入れた「ザ・バラード・オブ・ユー・アンド・アイ」やエレクトロなダンス・ビートを使った「イモータル」など、これまでの彼らとは違う大胆なアプローチの曲も収録されている。

メンバー達は「美メロ系のピアノ・バンド」という殻を破ろうと考えていたにちがいない。そんな思いは外部のソングライターと曲作りしたことや複数の一流プロデューサー達を起用したことからも明らかだ。

8月末のプロモーション来日に続いて、10月の東名阪ツアーも決定した。

新作について、メンバー達に話しを聞いた。

●3年ぶりの新作『ザ・マスカレード』がリリースされましたね。

リッキー・サンズ(ギター)「最高の気分だね。今回は、ただ新しい方向性のアルバムを作っただけに止まらず、より進歩的な方向に進んだんだ。このアルバムをレコーディングしたことで、音作りやサウンド・プロダクションの新しい技術をいろいろ学べたよ。アーティストとして、そしてミュージシャンとして新鮮な気持ちと興奮を持ったままキャリアを続けていける方法がわかったんだ。その気持ちを世界中のリスナーと分かち合いたいね」

クリス・クロン(ヴォーカル、ピアノ、ギター)「新作を作っている最中、僕らの人生においていろいろなことが起きたんだよ。親戚が亡くなったり、マネージャーを何度か変えたり、バンド・メンバーが抜けたりね。それでも僕らは逆境を乗り越えてアルバムを完成させた。落ち込んでいたときは、このアルバムが完成しないんじゃないかとか、リリースされないんじゃないかとかと思うこともあった。だから、アルバムが完成して本当にホッとしている。肩の荷が下りたような気分だね。これからライヴで新曲を演奏できるんだと思うとわくわくするよ。曲ってライヴで演奏すると、レコーディングしているとき以上に愛着が湧くからね」

●今回、ドラマーが前2作のマイク・ネイダーからデレク・ロックに変わったんですよね。

クリス「みなさん、これが僕らの新しいドラマーのデレクだよ!」

リッキー「デレク・ロックと紹介すればいいのか? それともデレク・リー?」

デレク・ロック「僕はデレク・ロックだよ!」

クリス「彼は本当にロックな男なんだ。彼は前のドラマーよりも激しくドラムを叩くんだ(笑)」

デレク「ありがとう(笑)」

リッキー「彼がドラムを叩くと、男性ホルモンを注射されたような気分になるよ(笑)。彼は朝からステレオでリンプ・ビズキットを爆音で流して、僕らを起こすような奴なんだ(笑)。実はデレクとはずっと前から友達なんだ。デレクとクリスは、僕がクリスと出会う前から、一緒にバンドをやっていたんだよ」

クリス「デレクが13歳で、僕が15歳のときにスカ・バンドをやっていたんだよ」

ライアン・マロイ(ベース)「ずっと以前、メイレイにドラマーがいなかったとき、デレクが代理で叩いてくれたことも何度かあったよ」

リッキー「デレクと一緒に演奏するチャンスがあるときは、いつも演奏するようにしていたよ。最終的に彼を加入させるチャンスが訪れたわけだけど、彼が加入したことで、メイレイの理想的なラインナップが完成したと思う。僕らは音楽的にも人間的にも共通の目標を共有しているんだ」

●前のドラマーの マイクは大学に戻ったそうですね?

リッキー「そう、彼はバンドを辞めて、大学に戻ることにしたんだ。彼のヴィジョンは僕らとはちょっと違ったんだ」

●新作はメイレイらしい美しいメロディーを軸にしながらロック・ナンバーからバラードまで、幅広い楽曲揃った作品だと思いました。新作を作るにあたっては、どんな作品にしたいと考えていましたか? 

クリス「コンセプトはいつも後から見えてくるんだ。アルバムを作りはじめたときから、コンセプトが決まっているわけじゃない。初めは幅広いテーマで曲を作って、後から絞り込んでいく。今回、アルバムを作りはじめてすぐにわかったのは、ただラウドなだけじゃなくて、よりタフなサウンドの作品を作りたかったってことだった。前作よりも荒削りな作品を作りたかった。僕らが作る曲は必ずキャッチーでポップだから、それは変わらない。だから、音的にもっとディープな作品にしたかったんだよ。何て言うか、もっとザラザラしたリアルなサウンドのアルバムにしたかったんだ」

リッキー「デレクが加入したことで、エネルギッシュで、いかにもロックなヴァイブが注入されたよ。彼がドラムを叩いたことで、迫力のあるサウンドになったんだ。だから彼が参加して、何百万倍もよくなったね(笑)。新しいメンバーが加入したことで、新鮮な空気が吹き込まれて、曲がさらに良くなったんだ。まさに僕らが必要としていた変化だったんだよ」

クリス「前作は磨かれたキレイなサウンドだったからね。今回は、もっとダーティーでパンチのあるドラム・サウンドに仕上げたかったんだ」

リッキー「ギターは必ず曲に入れないといけない、というルールからも離れたかった」

クリス「そう。典型的なギター・リフを入れるんじゃなくて、曲に新たな色彩を加えるためにギターを使ったんだ。ピアノについても同じことが言えるよ。今回は曲の中でずっと演奏したわけじゃないんだ。ピアノの音色を一つの要素として使った曲もある。そして、ヴォーカルは、よりアグレッシヴに歌った。バンドのリード・シンガーであることを、もっと前面に出したんだ。前作はクリス・クロンという一人の名義で出してもおかしくないサウンドだったからシンガーソングライター的な歌い方をしたんだけどね。でも、新作はバンド・サウンドであることと、その中心にリード・シンガーがいることを強調したかったんだ」

●前作のハワード・ベンソンに代えて、今回はジョシュ・エイブラハムズ、ジャックナイフ・リーら、複数のプロデューサーに起用していますね。

リッキー「複数のプロデューサーと仕事をしたかったんだ。今振り返ってみると、新作のテーマは"成長"だったと思う。僕らはソングライターとして成長したかったし、バンドとしても、ミュージシャンとしても成長したかった。複数のプロデューサーと曲を作ると、自分の意志や音楽性が試されるんだ。プロデューサーのアイディアをただ真似るのではなく、彼らのアイディアを曲の中にうまく取り入れるという意味でね。ジョシュは力強いポップ・ロックの要素を持ち込んでくれたし、ジャックナイフ・リーは実験精神を持ち込んでくれた。ジャックナイフ・リーは、いつもとは違うアプローチを見せてくれたんだ。複数のプロデューサーと仕事をしたのは正しかったね。自信を持つことができるようになったし、メイレイらしさを明確にすることもできたんだからね」

クリス「僕らがはっきりとした方向性を示さないといけなかったんだよ。何人ものプロデューサーと仕事をすると、バラバラで一貫性のない作品になる恐れがある。だから、僕ら自身が明確な方向性を示して、どのプロデューサーとレコーディングするときでも、それを貫いたんだ」

●「ザ・バラッド・オブ・ユー・アンド・アイ」のコーラスはアフリカ音楽の影響を感じさせるけど、そのアイディアはどんなところから?

クリス「ワールド・ミュージックとかトライバル・ミュージックとかは前から好きだったんだよ。だから、そういう要素を、オーガニックな方法ではなく、人工的なサウンドの中に取り入れてみたんだ。この曲のメロディーは、トライバルでアフリカっぽいリズムに向いていた。よく聴かないとわからないかもしれないけど、それがこの曲を際立たせていると思うよ」

●「イモータル」ではエレクトロなダンス・ビートを使っているけど、ふだんエレクトロ・ミュージックも聴いたりするんでしょうか?

リッキー「「イモータル」は後の方に作った曲なんだ。今回は、いろいろなタイプの曲を作りたかったから、こういう曲も作ってみた。今までのメイレイとは違うタイプの音楽的要素も、自信を持って取り入られるようになったってことだよ。クラブ・ミュージックや最近の音楽を聴いたり、世界中をツアーしたりしていると、ダンス・ミュージックがいかに人気があるかがわかるよ。みんなダンス・ミュージックが大好きなんだよ。だから、それをフェイクではない、自分達なりの方法で取り入れてみた。「イモータル」では壮大なアンセムを、躍動感あるエレクトロニクスと融合させることができたと思う」

●日本語の歌詞を含むクイーンの「手をとりあって」をカヴァーしたいきさつは?

クリス「僕らと同じぐらいクイーン・ファンの友人がその曲について教えてくれたんだ。彼とある日、クイーンの曲ではどれが好きかって話しあっていたとき、『「手をとりあって」は知ってる?』と聞かれたんだけど、なぜか僕らはその曲だけは聴き逃していたんだ。彼に聴かせてもらって、すぐに気に入ったよ。この曲をカヴァーすれば、僕らがクイーンの大ファンだってことと日本が大好きだっていうことを同時に示すことができると思って、カヴァーすることにしたんだ」

●新作はメイレイについて、どんな作品になったと考えていますか?

リッキー「最新作が最も重要な作品なんだよ。でも、新作を含む3枚のアルバムのうち、新作は僕らの音楽性を最も正確に表した作品だと思う。1枚目の『エヴリデイ・ビヘイヴィア』はエレクトロニクスやシンセを取り入れた実験的な作品だったけど、新作はどちらかというと、その1枚目の続編かもしれない。前作の『デヴィルズ・アンド・エンジェルズ』の続編ではないよね。あのアルバムは僕らにとって、自分達のソングライティングの土台になる作品だったんだ。前作を作ることで、バンドとソングライターとしての自分達を理解することができた。新作は前作のソングライティングと『エヴリデイ・ビヘイヴィア』の実験精神を融合させたと言ってもいいかもしれないね」

クリス「『デヴィルズ・アンド・エンジェルズ』では、サウンド面でのトレードマークがあまりはっきりしていなかった。もちろん、曲に適したサウンドは作り出せたし、曲に適したアレンジもできた。そういう意味では、前作にはとても満足しているよ。でも、新作ではバンドとして、僕らがクリエイトしたいと考えていたサウンドを、理想的な形で作り上げることができたんだよね」

_melee_masquerade_cvr_

ザ・マスカレード/メイレイ(ワーナー WPCR-13882)

|

« ウィーザーがエピタフ・レコードに電撃移籍 | トップページ | 猫毛フェルト »

音楽」カテゴリの記事