« connected vol.9 | トップページ | ファンファーロ@サマーソニック2010 »

ダックス・リグス

Daxriggs

最近は前作が当たったウエーヴスやメジャーのコロムビア・レコードとジョイントベンチャーという形でリリースしているバンド・オブ・ホーシズに力を入れているせいか、割を食っているような印象があるけれど、ダックス・リグスが07年にリリースした『We Sing Of Only Blood Or Love』は確かに当時、リリースが停滞していたファット・ポッサム・レコードの起死回生の1枚だった。

ブラック・キーズの大ヒット以降、決定打を出せずにいたファット・ポッサムは、その『We Sing Of Only Blood Or Love』がなければ、ひょっとしてデルタ・ブルースのアーカイヴとリイシュー専門のレーベルになっていたかもしれない。

実際、『We Sing Of Only Blood Or Love』は、ポップなところもあるパワフルなゴシック・ブルースの傑作だった。

ソロに転じる前、女性ドラマーと組んでいたデュオ・バンド、デッドボーイ&ザ・エレファントメンを含め、似たようなバックグラウンドを持っているジャック・ホワイトと比べてもリグスの才能は、何ら遜色はなかった。

ニューオリンズ出身の37歳。キャリアのスタートはスラッジ・メタル・バンド、アシッド・バスのシンガーだった。その時代から数えれば、キャリアは20年に及ぶ。

3年ぶりとなるソロ第2弾アルバム『Say Goodnight To The World』は前作を踏襲したゴシックなブルース作品だ。しかし、じっくりと作りこんだ印象の前作と比べると、ずいぶん生々しい。マット・スウィーニーのプロデュースの下、曲ごとにそのスウィーニーも含む複数のミュージシャンを使いわけた前作とは違い、今回はリグスを含む4人編成のバンドでレコーディングに臨んだようだ。プロデューサーは、前作にも参加していたキーボード奏者のロビー・リーが務めた。それがスタジオからそのまま持ってきたような生々しさにつながった。

たぶん、時間をかけずに曲が持っているフィーリングを活かす形でレコーディングは行われたのだろう。

完成度の高さという意味では前作に譲るものの、そのメランコリーによってリスナーを虜にするという意味では、今回もリグスが作った曲はどれも素晴らしい。

聴いているうちにジョン・ケイルがプロデュースしたストゥージズの1stアルバムを思い出した。「Let Me Be Your Cigarette」は曲調も含め、「I Wanna Be Your Dog」を意識したにちがいない。「Heartbreak Hotel」の大胆すぎるカヴァーは、リグス版の「We Will Fall」か。

本人にそういう色気がないのか、いまだ知る人ぞ知る存在に甘んじてはいるものの、もっと多くの人に知られるべき才能の持ち主だ。

ファット・ポッサムはダックス・リグスをもっと大事にすべきである。

Saygoodnight

Say Goodnight To The World / Dax Riggs (Fat Possum  FP1220-2)

|

« connected vol.9 | トップページ | ファンファーロ@サマーソニック2010 »

音楽」カテゴリの記事