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2009年12月

TAYLOR HOLLINGSWORTH interview

コナー・オバーストもその才能を認めた
アラバマのシンガー・ソングライター

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ブライト・アイズことコナー・オバーストの新しいバンド、ミスティック・ヴァレー・バンドのギタリスト――。

そう言った方が明らかに通りがいいということだけではなく、コナー・オバーストとの出会いは、彼にとって大きな転機になったと思うから、とりあえず、そんなふうに紹介してみるけれど、アラバマ州バーミンガム出身のテイラー・ホリングスワースは26歳の若さにして、すでに10年以上の活動歴を持つ、少なくともアラバマのローカル・シーンではそれなり知られたミュージシャンだ。

テイラー&ザ・パフズ名義も含め、これまでに3枚のアルバムと2枚のEPをリリースしている。

最新作は09年11月にリリースした『Life With A Slow Ear』。

盟友コナー・オバーストのレーベル、チーム・ラヴからリリースした、その『Life With A Slow Ear』は、これまでのグラマラスなロックンロール路線を改め、元々持っていたルーツ・ミュージック志向を露にしたことを思わせる異色作。

悪魔の存在を歌った冒頭の「I Didn't Know It Was The Devil」他、自作のブルース・ナンバーの数々が、彼の新たな魅力を印象づけている。

●14歳の時にはギタリストとして、すでにキャリアをスタートさせていたそうですね。ギターを手に取ったきっかけって、どんなことだったんですか?

「アニキがギターを弾いていたんだよ。それで、俺も真似して弾きはじめたってわけ。特に、これだっていうきっかけがあったわけじゃないよ。試しに弾いてみたら、たまたまハマっちゃったんだ」

●ギターを練習しているときは、どんな音楽を聴いていたんですか?

「その頃は、ふつうにみんなが聴いているようなロックが好きだったよ。ニルヴァーナとかスマッシング・パンプキンズとか、レッド・ツェッペリンとかジミ・ヘンドリックとかね。それから、いろいろ音楽を聴くようになった。あらゆるスタイルのね」

●この数年間はミスティック・ヴァレー・バンドで演奏しているけど、コナー・オバースとはどんなふうに知り合い、彼の新しいバンドに加わることになったんですか?

「コナーが俺の友達の女の子とつきあってたんだよ。最初は友達の友達みたいな感じだったんだけど、俺はずっとコナーのことを、いい奴だなって思ってて、コナーとメイシー(・テイラー。テイラーの友人で、ミスティック・ヴァレー・バンドのベーシスト)とメキシコに遊びにいったとき、コナーから新しいバンドに加わらないかって誘われたのさ。言っちゃえば、なりゆきだね」

●ミスティック・ヴァレー・バンドに参加してよかったことは?

「素晴らしい友達が増えたよ。それにいろいろな刺激も受けた。特に音楽の面でね、ミスティック・ヴァレー・バンドは最高だよ」

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ミスティック・ヴァレー・バンド。右端がテイラー

●新作の『Life With A Slow Ear』について聞かせてください。素晴らしい作品になりましたね。

「ありがとう! 自信作だよ。ほとんどライヴ・レコーディングしたんだ。そこが気に入ってる。そのやり方をとことん追求してみたいんだ。あっという間に完成させちゃったんだよ。確か8日間ぐらいしかかかってないんじゃないかな」

●以前のグラマラスなロックンロール路線を改め、今回はよりフォーキーかつブルージーなアコースティック・サウンドにアプローチしていますね。ロックンロールはもう卒業ということ?

「いや、今後もロックンロールは演奏しつづけるよ。ただ、今回はよりシンプルな作品を作りたかったんだよね。だからって、明確なアイディアがあったわけではない。たまたまアコースティック・ギター一本で演奏できるような曲を演りたかったんだよ。近い将来、もっと大音量のギター・ロック作品を作るかもしれないよ」

●新作を作るにあたって、コナーは何かアドバイスしてくれましたか?

「もちろん! コナーのレーベル、チーム・ラヴからリリースできるなんてね。チーム・ラヴからリリースすることが、俺の第一希望だったんだ。だって、レーベルのスタッフはみんな俺の友達だからね。コナーは新作を気に入ってくれて、もしレーベルが必要なら、チーム・ラヴから喜んでリリースするよって言ってくれたんだ。チーム・ラヴに加わって、友人達と一緒に仕事できるなんてホント最高だよ」 

●1stアルバムの『Tragic City』に「I'm A Runway (New Orleans)」という曲が収録されていたけど、新作にも「New Orleans Blues」という曲が収録されていますね。ニューオリンズに何か特別な思い出や思い入れがあるんですか?

「俺にとってニューオリンズは心の故郷なんだ(笑)。ニューオリンズには俺の家から約5時間のドライヴで行ける。だから何度も訪れては、どんちゃん騒ぎをしてきたよ」

●新作にはケイト・テイラーが参加しているけど、彼女のお姉さんのマリアやお兄さんのメイシーとも共演経験がありますね。

「ああ。テイラー一家は、俺にとっては家族同然なんだよ。ケイトは俺の彼女だし、近い将来、嫁さんになるだろうしね」

●それはよかったですね。テイラー一家とはどんなふうに知り合ったんですか?

「同じ町の出身なんだよ。小さい町だから、音楽をやってれば、いやでも知り合いになる。それにケイトと俺は同じレストランでバイトしていたこともあるしね。ケイトと俺はデッド・フィンガーズって新しいバンドを始めたんだけど、来年、アルバムをリリースしようと思って、今、準備しているところなんだ」

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デッド・フィンガーズ。テイラーとケイト・テイラー

●そう言えば、ソロやミスティック・ヴァレー・バンドの他にも複数のバンドをやっていましたよね?

「ああ、何か新しいバンドを始めると、それがまた別のバンドにつながるんだよ。ただ、これからはデッド・フィンガーズに集中したいと思っている。と言いつつ、S.D.X.とムッシュ・ジェフリー・エヴァンズのサザン・エイセスでもプレイしているけどね。S.D.X.はスウィート・ドッグ・エクスペリエンスの頭文字なんだけど、ドラマーがスウィート・ドッグ(アラバマのガレージ・ロックンロール・バンド、デクサティーンズの元ドラマー)って言うんだ。S.D.X.では、エレクトリック・ギターによるエクスペリメンタルな即興音楽をやっている。マジぶっ飛んでるよ。ムッシュ・ジェフリー・エヴァンズはメンフィスのミュージシャンで、以前は68カムバックってバンドをやってたんだよ。その2つとデッド・フィンガーズが現在、俺がメインでやっているバンドかな」

●あらゆるタイプの音楽を聴いていると言っていたけど、最近はどんな音楽を聴いているんですか?

「今、聴いているのはジョン・フェイヒー、ジョン・プライン、ポール・サイモン、ライトニン・ホプキンス、ハウンドドッグ・テイラー、ロイヤル・トラックス、ワンダ・ジャクソン、ロバート・スティーヴン・ムーアー…そんなところかな」

●最後に今後の活動予定を教えてください。

「いろいろやりたいことはあるけどね。そうだな、ただ1つ確実に言えるのは、何にも囚われない自由な精神で音楽とアートを作りつづけるってことかな」

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LIFE WITH A SLOW EAR / TAYLOR HOLLINGSWORTH (TEAM LOVE  TL44)

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FINCH interview

3度目の来日を実現させたフィンチは
現在、新作作りの真っ最中

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フィンチとフューネラル・フォー・ア・フレンド――。

00年代前半、ロック・シーンの新しい波をリードした2組のジョイント来日ツアーが実現。

12月4日の赤坂ブリッツ公演の本番前、楽屋でフィンチのヴォーカリスト、ネイトに話を聞いた。

今年3月、7年ぶりの来日公演を実現させ、その模様をライヴ・アルバムとしてリリースした彼らは現在、3作目のアルバムを作っている真っ最中。今回の来日ツアーでも新曲2曲を披露した。

たぶん、来年春頃にはファンを喜ばせるニュースも聞けるはずだ。

●ジャパン・ツアーは楽しんでいますか?

「もちろん! 日本はもう3度目だからね。東京にいる限り、自分達だけで行動もできるし。うん、楽しいよ」

●フューネラル・フォー・ア・フレンドとは、これまでに対バンしたことってあるんですか?

「うん、あるよ。もうずいぶん前だけど。たぶん、02年頃だったと思うんだけど。ナイスな連中だったって記憶があるよ」

●彼らの音楽は好き?

「ああ、もちろん。いいバンドだと思うよ。もっとも、それほどCDを聴きこんだってわけじゃないけどね(苦笑)。そもそも自分から進んで他のバンドのCDを聴いたりするタイプの人間じゃないんだよ。いろいろなバンドが『聴いてよ』ってCDを持ってきたり、友達が『聴いてみなよ』っていろいろ薦めてくれたりするけど、自分の曲を作るのに忙しくて、そこまで手が回らないと言うか、何と言うか、そういう意味では、怠け者なんだよ(苦笑)」

●最近、お気に入りのCDって言うと?

「あぁ…。うーん、自分でも今さらだとは思うけど(苦笑)、ホラーズのEPと1stアルバムはよかったね」

●かつてフィンチとフューネラル・フォー・ア・フレンドって、それぞれにアメリカとイギリスを代表するスクリーモの先駆者と見なされていたけど、彼らにライバル意識を感じたことってありますか? 

「ないよ、ないない(笑)。さっきも言ったように積極的に他のバンドをチェックするタイプじゃないんだよ。フューネラル・フォー・ア・フレンドを含め、他のバンドにライバル意識を持ったことは一度もないよ」

●今回のジャパン・ツアーはフューネラル・フォー・ア・フレンドとヘッドライナーを交互に務めているそうですね。先に演奏するのと、後で演奏するのとでは気分って違うものですか?

「いや、変わらないよ。僕らには、そういうエゴはないから、正直、どっちでもいい。特に日本はね。だって、アメリカみたいに目当てのバンドが終わったら帰っちゃうようなファンはいないだろ」

●アメリカには、そういうファンが多いんですか?

「みんながみんなってわけではないけど、そういうファンは少なからずいるよ」

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ネイト

●ツアー中、フューネラル・フォー・ア・フレンドのメンバーとは遊びに行ったりしているんですか?

「四六時中、一緒だよ」

●ネイトが一番仲いいのは?

「たぶん、マットかな。やっぱりシンガー同士、引き合うものがあるのかもね。もちろん、メンバー全員と仲がいいけど、一番話が合うのはマットかもね」

●マットとはどんなことを話すんですか? 

「マットと俺も大の映画好きなんだよ。しかも、今回、一緒にツアーしてみてわかったんだけど、マットは俺と同じで、デヴィッド・リンチの大ファンなんだ。しかも、リンチ作品のことを本当に理解している。もちろん、いろいろなことについて話すけど、やっぱり一番話題になるのはデヴィッド・リンチの映画のことかな」

●へぇ。リンチ作品で好きなのは?

「『ツイン・ピークス』かな。映画だったら『マルホランド・ドライヴ』だな」

●『ツイン・ピークス』で"世界一美しい死体"と謳われたローラ・パーマーを演じていたシェリル・リーって、すっかりおばさんになっちゃいましたね。

「ああ、そうなんだ(笑)。最近の姿は見てないけど、でも、かなりおばさんになっちゃったんだろうなぁ。だって、『ツイン・ピークス』って、20年も前のドラマだぜ」

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ネイトといとこのダニエル(B)

●10月と11月はATTICUS TOURでヘッドライナーを務めたそうですね?

「その時も今回と同じで、ブレスザフォールとダブル・ヘッドライナー・ツアーだったんだけど、ブレスザフォールのファンは俺達を観ないで帰っちゃったんだよね。まぁ、ダブル・ヘッドラインと言いながら、ブレスザフォールがメインではあったらしいんだけど、その時はそのツアーをやる意味があると思えたんだ。正直、最高と言えるようなツアーではなかったけど、俺達は何かやらなきゃって感じていたんだ、少なくともあの時はね」

●その後、サンクスギヴィング・デーはどんなふうに過ごしたんですか?

「アパートに家族を招いて、ガールフレンドと料理したり、テレビを見たりしたよ」

●ブラック・フライデーには買い物に行きました?

「いやぁ、俺にはそういう習慣はないよ。それに日本に行かなきゃいけなかったし」

●今もティミキュラに住んでいるんでしたっけ?

「ああ。引っ越したいとは思っているんだけどね」

●ジャパン・ツアーが終わって、アメリカに戻ってからは、どんな予定が待っているんですか?

「新しいアルバムを完成させる! それ以外は特に決まっていない。たぶん、曲を書いたり、その曲を練習したりすることになると思う。とにかく、今は新しいアルバムを完成させること以外は何も考えていないよ」

●新作のレコーディングは、どの程度進んでいるんですか?

「完成間近だよ。もう25曲ぐらい出来上がっているんだ。後はそれをまとめて、足りない部分を埋めるだけなんだよ」

●さっき聴かせてもらった「Hail To The Fire」と「World Of Violence」という新曲が新しいアルバムの路線と考えていい?

「そうだね、新しいアルバムを代表する曲と言えるかもね。もちろん、その2曲とは全然違うタイプの曲も収録されるとは思うけど」

●最終的には、どういう作品にしたいと考えているんですか?

「作っている最中だからね、まだ何とも言えないよ。うーん、表現するのは難しいな」

●たとえば、1stアルバムはスクリーモ、2ndアルバムはプログレと言われましたよね?

「そうだね。でも、自分達の音楽に、自分でラベルを貼ることはできないよ。それは聴いた人がやることさ。それに前の2枚がそう言われたからって、俺達はそういう作品を作ろうと考えていたわけではないしね」

●新作は自主リリースしようと考えているんですか?

「いや、できることなら、どこかのレーベルと契約したいんだ。そう思って、いろいろなところにデモを送ってはいるんだけど、今のところ全然、返事がないんだよ。自分達でもびっくりなんだけどさ(苦笑)」

※実際は、いくつかのオファーがあるらしい。

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ドリュー(DR)とランディ(G)

●では、最後に来年の抱負を聞かせてください。本番前にありがとうございました。

「とにかく新しいアルバムを完成させること。そして、それをこれまでで一番素晴らしい作品にすることだね」

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ライヴ・イン・ジャパン/フィンチ(イン&アウト INO-6)

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ニュームーン/トワイライト サーガ

人間の少女ベラとヴァンパイアであるエドワードが運命の恋を貫き通すさまを描いた大ヒット映画『トワイライト~初恋~』。

そのシリーズ第2弾『ニュームーン/トワイライト サーガ』は、エドワードとの別れ、ベラと幼馴染みであるジェイコブの急接近、明らかにされるオオカミ族の存在、そしてヴァンパイの最大勢力ヴォルトゥーリ族の脅威など、前作以上に波乱の展開。

あまりにも自己中心的で向こう見ずな10代の恋は、すでにベラの父親に近い年齢の僕には危なっかしくて、とてもじゃないけれど、見ていられない。しかし、逆にそういうところが世界中の10代の女の子達の気持ちを鷲掴みにするのだろう。

運命とか、命がけの恋とか、永遠の関係とか、障害が多ければ多いほど燃え上がる想いとか。

「私のために争わないで」なんてセリフ。

女の子なら、きっと一度は言ってみたいはず(?!)。

もちろん、前作『~初恋~』にひき続き、オリジナル・サウンドトラックも要注目。

デス・キャブ・フォー・キューティーが提供したリード・シングル「ミート・ミー・オン・ジ・エクイノックス」をはじめ、トム・ヨーク、ザ・キラーズら、米英の人気バンドの新曲が収録されている。

映画を見ながら印象に残ったのは、ロングウェイヴのフロントマンによるソロ・プロジェクト、ハリケーン・ベルズの「モンスターズ」、スウェーデンの女性シンガー、リッキ・リーの「ポシビリティ」、ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブの「ダン・オール・ロング」、エンド・タイトルで流れるザ・キラーズの「ア・ホワイト・デーモン・ラヴ・ソング」、そしてデス・キャブ・フォー・キューティーの「ミート・ミー・オン・ジ・エクイノックス」。

今回は前作よりも音楽マニア度が高い顔ぶれを揃えたという印象だ。

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ニュームーン/トワイライト サーガ オリジナル・サウンドトラック(ワーナー WPCR-13725)  

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