サイドマンとして活躍してきたJOHN CALVIN ABNEYの真の実力

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リリースは16年だったから、「Best 10 albums 2017」には入れなかったけど、17年に一番聴いたアルバムは、オクラホマ州タルサ出身のシンガー・ソングライター、ジョン・カルヴィン・アブニーの『Far Cries and Close Calls』だったと思う。
 
 
Farcries Far Cries and Close Calls(Horton)
 
なぜ、そんなはまったのか。たぶん、それは彼が甘酸っぱいセンチメントとともに表現する寂寥感が琴線に触れたからだと思うのだが、そういう感情を決して垂れ流さずに展開のはっきりした楽曲に収める、ある意味、ウェルメイドなソングライティングもまた、聴きながら心地良かった。
 
明らかにフォーク、カントリー、ブルースの影響を根っこに持ちながら、決して土臭くならないインディ・ロック・マナーのサウンドは、エリオット・スミスやコナー・オバーストをひきあいにルーツ・ポップという言葉とともに複数のプレスから歓迎された。しかし、60年代のビート・バンドを彷彿とさせる「Jailbreak」やエネルギッシュなロックンロールの「Weekly Rate Palace」のような曲も収録した『Far Cries and Close Calls』には、ルーツ・ポップの一言だけでは表現しきれない魅力があった。
 
 
 
 
 
彼の存在に興味を持ったきっかけは、前述した「Best 10 albums 2017」に選んだジョン・モアランドの『Big Bad Luv』とポーター&ザ・ブルーボネット・ラトルスネークスの『Don't Go Baby It's Gonna Get Weird Without You』という2枚のアルバムにマルチ・プレイヤーとして参加していたことだった。
 
売れっ子プレイヤーとして、あちこちに顔を出しているならいざ知らず、かなりマニアックなベスト10に選ぶくらい大好きな2枚のアルバムに参加しているなんてと感じるものがあったので、ジョンのことを調べてみたら、ジョン・モアランドをはじめ、複数のミュージシャンのレコーディングやツアーに参加するかたわら、ソロ・アーティストとしても活動していることがわかって、慌てて、その時一番新しかった『Far Cries and Close Calls』を手に入れたところ、前述のとおりすっかりはまってしまったというわけだ。
 
今年3月にはSXSWでライヴを見ることもできた。バンドを従え、ステージに立ったジョンを見ながら、ライヴ・パフォーマーとしても華のあるアーティストであることを実感。そして、日本でももっと多くの人に彼のことを知ってほしいと思った。
 
 
S_john_calvin_abney_4_2 SXSW 2108
 
 
同郷の盟友、ジョン・モアランドがさらなる注目を集め始めたことで、17年はジョンにとっても忙しい1年になった。
 
ギタリスト/キーボーディストとして参加したモアランドのツアーは125公演を超え、ジョン・プラインやアイアン&ワインと同じステージに立つ機会をジョンに与えたが、能ある鷹は自分の爪を磨くことも決して忘れなかった。
 
モアランドと全米各地を回る一方で、ジョンはソロ・アーティストとしても精力的にステージに立ちながら、新曲を作ることにも精を出してきた。
 
その成果と言えるのが3枚目のアルバム『Coyote』だ。サンフランシスコとタルサを拠点としている新興レーベル、ブラック・メサ・レコードから5月18日にリリースされた。
 
 
Coyote_2 Coyote(Black Mesa)
 
 
『Far Cries and Close Calls』と同じアーカンソー州リトル・ロックにあるスタジオ、フェローシップ・ホールでレコーディングしながら、生々しいバンドの演奏を、その騒々しさとともにとらえた前作から一転、『Coyote』は音数を削ぎ落とした演奏を、一音一音、ていねいに録っていったことを想像させるアコースティック調の作品になっている。
 
レコーディングに参加したミュージシャンは、前作からひきつづきパディ・ライアン(ドラムス)とミーガン・パーマー(ヴァイオリン、バッキング・ヴォーカル)、そして今回、初参加となる元ドライヴ・バイ・トラッカーズのショーナ・タッカー(ベース、バッキング・ヴォーカル)の計3人。ジョンはアコースティック・ギターとキーボードの他、ハーモニカ、ヴィブラフォン、ペダル・スティール、ドラム・マシーンなどを自ら演奏している。
 
ヴァイオリンとピアノだけのインスト小品の「Leslie Lane」を含む計10曲を収録。
 
「Cowboys and Canyon Queens」と「South Yale Special」の2曲は、アコースティック・ギターの弾き語りによるトラッドなフォーク・ナンバーだが、その他の曲では音数を削ぎ落としながらトラディショナルなだけに止まらないアイディアの閃きが、ジョンの歌声とともに聴きどころになっている。
 
中でもフォーク・ナンバーにブギウギ・ピアノを加えた「Broken Bow」、打ち込みの淡々としたリズムがたそがれた風情を醸しだすフォーキーなブルース・ナンバーの「Get Your House In Order」、メランコリーが胸に染みる音響系カントリー・ナンバーの「Sundowner」の3曲は、ルーツ・ポップと謳われるジョンの真骨頂と言ってもいい。もちろん、前述したウェルメイドなソングライティングの魅力は、今回も変わらない。
 
 
 
 
“Dreamy folk with a good balance of sadness and sunshine”と評したローリング・ストーンをはじめ、すでに『Coyote』は数々のメディアからベック、エリオット・スミス、ライアン・アダムス、さらにはイギリスのロマン派の詩人であるワーズワースやバイロンをひきあいに取り上げられ、ジョンは『Far Cries and Close Calls』をリリースした時以上に注目を集め始めている。
 
それをきっかけにサイドマンとして活躍してきたジョンの真の実力が多くの人に認められることを願ってやまない。
 
因みに『Coyote』という今回のタイトルは、ジョン・モアランドがステージでジョンを紹介する時に言った“コヨーテ・トリガー”というニックネームに由来しているそうだ。
 
 
 
 
 
 
 

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3年ぶりの新作を完成させたLUCEROのBENと映画監督として活躍している弟、JEFF――南部で生まれ育ったNICHOLS兄弟の絆とは

Lucero

 
 
結成20周年を迎えたメンフィスの5人組ロックンロール・バンド、ルセロが遂に新しいアルバム『Among The Ghosts』を完成させた。
 
リリース日は8月3日。
 
前作『All A Man Should Do』から3年ぶりのリリースとなる。
 
今回は、2012年から所属していたATOから離れ、インディペンデントのアーティストをサポートしているナッシュビルのサーティー・タイガースからのリリースであることに加え、09年の『1372 Overton Park』から『All A Man Should Do』まで3作連続でプロデューサーを務めてきたテッド・ハットに代えて、ジェイソン・イズベル、マーゴ・プライス、ドライヴ・バイ・トラッカーズ他を手掛けてきたプロデューサー/エンジニア、マット・ロス・スパングと新たに組んでレコーディングを行っている。
 
心機一転という気持ちがメンバーたちにはあるようだ。
 
『1372 Overton Park』以来、レコーディングのみならず、ツアーにも連れていっていたホーン隊と一旦別れ、結成時の4人にキーボード奏者のリック・ステフを加えた5人でレコーディングしたというから、ストレートなロック・サウンドに回帰しているに違いない。
 
その一方でバンドのフロントマンであるベン・ニコルズ(Vo, G)は曲を作るにあたって、これまで以上にストーリーテリングを意識したそうだ。
 
「Back to the Night」という曲では映画『シェイプ・オブ・ウォーター』他で知られる俳優、マイケル・シャノンがナレーションを加えているという。
 
新作のソングライティングを「シネマティック」とたとえるベンは、こう付け加えている。
 
「でも、誰も見たことがないような映画なんだ」
 
 
 
 
 
 
 
リリースに先駆け、公開された「For the Lonely Ones」「To My Dearest Wife」の2曲を聴きながら、前作からの3年の間に、それぞれに家族を持った彼らが心機一転、どんなロックンロールを奏でるのか楽しみにしている。
 
 
 
Amonghteghosts Among The Ghosts (Liberty&Lament / Thirty Tigers)
 
 
『Among The Ghosts』にはベンがソロ名義で、映画『ラビング 愛という名前のふたり』に提供した「Loving」のバンド・ヴァージョンを含む計10曲を収録。
 
その『ラビング 愛という名前のふたり』は、映画監督として活躍しているベンの弟、ジェフの5作目の作品。因みにマイケル・シャノンはジェフ・ニコルズ作品の常連俳優。「Back to the Night」の客演も納得だ。
 
Jeffandmichael ジェフとマイケル・シャノン
 
 
これまでジェフは最新作の『ラビング 愛という名前のふたり』を含め、計5本の映画を監督しているが、ベンはソロ、あるいはルセロとして、全作品に楽曲を提供している。
 
ジェフのデビュー作『Shotgun Stories』(07年)は製作費25万ドルのロウバジェット作品だったから、ひょっとしたら、音楽を作る予算がなくて、兄貴を頼ったのかもしれない。しかし、その後、ジェフは監督して成功を収め、『『MUD -マッド-』(12年)、『ミッドナイト・スペシャル』(16年)といった大きなバジェットの作品を撮るようになった。
 
音楽にだって、たっぷりと予算を掛けられるだろう。実際、劇中の音楽は、2作目の『テイク・シェルター』(11年)からずっとデヴィッド・ウィンゴを起用しているが、いわゆる挿入歌やエンディング・テーマだって、いろいろな――たとえば、有名なアーティストを使ってもいいはずだ。しかし、ジェフがエンディングを含め、特に印象的な場面ではベンやルセロの曲を使いつづけているのは、彼の作品が人気アーティストの曲が多数、流れるような派手な作品ではないこともさることながら、やはり兄弟と言うか、家族の絆を大事にしているからなんじゃないだろうか。ルセロと言えば、アメリカの南部にルーツを持っていることを誇りとしているバンドだが、そこにアーカンソー出身のジェフの兄貴に負けない南部魂を感じたりも。
 
その意味では、ベンやルセロのメンバーのみならず、マイケル・シャノンやデヴィッド・ウィンゴまた、ジェフにとっては家族と言える存在なのかもしれない。

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JACK WHITEを魅了したESTHER ROSEの歌声

Estherrose

 
 
カレン・エルソン、オリヴィア・ジーン、マーゴ・プライス、リリー・メイ、そしてエスター・ローズ。
 
彼女たちの共通点は?
 
ジャック・ホワイトの話題の新作『Boarding House Reach』を聴きながら、ソウル・バラードの「What’s Done Is Done」でジャックとデュエットしている女性シンガーは誰だろうと思って、ブックレットをチェックしみたら、「Esther Rose: Backing Vocals」とあってちょっとびっくりした。
 
 
Jackwhiteband_2 左から3人目がエスター
 
 
エスターとジャック。2人はいつどこで、どうつながったんだろう?
 
エスター・ローズはニューオーリンズを拠点としているシンガー・ソングライター。
 
僕が彼女の存在を知ったのは、ニューオーリンズのシンガー・ソングライター/ギタリスト、ルーク・ウィンズロウ・キングが13年にリリースした『The Coming Tide』というアルバムだった。
 
ブルース、オールドタイミーなジャズ、フォーク、ロックンロールが渾然一体となったそのアルバムでヴォーカルとウォッシュボードを担当していた彼女の名前は、アルバムのジャケットにも「featuring ESTHER ROSE」としっかりクレジットされ、彼女に対するルークの信頼の大きさが窺えた。
 
翌14年、ルークがリリースした『Everlasting Arms』というアルバムでエスターはルークとともにアルバム・カヴァーに登場。「ESTHER ROSE KING」というクレジットが公私にわたるパートナーとなった2人の蜜月を物語っていた。
 
しかし、蜜月はそれほど長くは続かず、2人は離婚。ルークが16年9月にリリースした『I’m Glad Trouble Don’t Last Always』は、エスターへの未練を歌ったブルージーなアルバムだった。
 
その後、エスター・ローズ名義でソロ活動を始めた彼女はデズロンズ、ハレイ・フォー・ザ・リフ・ラフ、ポーキー・ラファージらとステージに立ちながら、17年6月に1stソロ・アルバム『This Time Last Night』をリリース。デズロンズのキャメロン・スナイダー(Dr)ら、ニューオーリンズのカントリー・シーンのミュージシャンたちとレコーディングしたそのアルバムは、人生に躓いた時に学んだことや一つ一つの障害を乗り越えてきた彼女の経験の記録なんだそうだ(ルークのアルバムとは正反対と言える内容がなんとも)。
 
 
Esterrosejkt This Time Last Night
 
 
カントリーを基調としながら、オールドタイミーなジャズやR&Bの影響が入り混じるところがいい。そこがニューオーリンズ、いや、エスター・ローズならではなのだろう。気取りのない奔放な歌声も魅力的だ。
 
 
 
 
 
結局、ジャックのアルバムに参加した経緯はわからないままだが、エスターの存在が多くの人に知られるきっかけになったらうれしい。
 
カレン・エルソン、オリヴィア・ジーン、マーゴ・プライス、リリー・メイ――ジャックに見出され、彼のレーベル、サード・マンからソロ・デビューした女性アーティストは少なくない。ひょっとしたら、エスターも?!
 
女性を見るジャックの目は知らない。しかし、女性アーティストを見る目は信頼している。
 
 
 
 

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LAST HURRAH 2.0 presents Best 10 albums 2017 ②

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昨年にひきつづき、ルーツ・ロック~アメリカーナをテーマに(でも、そこはゆる~く)2017年のベスト・アルバムを10枚ずつ選んでみたところ、今年もまた、他にはないおもしろいベスト10になりました。その第2弾です。
 
 
 
 
【New West Recordsの活躍が目立つなど、17年も好作続き】
by 山本 尚
 
 
Raydavis
➀ Americana / Ray Davies (Legacy)
 
 
Hurray_2
② The Navigator / Hurray for the Riff Raff (ATO)
 
 
Thesadies
③ Northern Passages / The Sadies (Yep Roc)
 
 
Nikkilane_3
④ Highway Queen / Nikki Lane (New West)
 
 
Joanshelley
⑤ Joan Shelley / Joan Shelley (No Quarter)
 
 
Sonvolt
⑥ Notes of Blue / Son Volt (Transmit Sound)
 
 
Sammybrue
⑦ I Am Nice / Sammy Brue (New West)
 
 
Kacy
⑧ The Siren's Song / Kacy & Clayton (New West)
 
 
Banditos
⑨ Visionland / Banditos (Bloodshot)
 
 
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⑩ Graveyard Whistling / Old 97's (ATO)
 
17年も好作続き! ①はThe Jayhawksがバック・バンドを務め、このタイトル。もちろん期待を裏切らないアルバムでした。これからも長く聴き続けるであろう。
 
②~⑤はライヴも見たけれど、ライヴも最高。特にHurray~とNikkiのステージでの存在感には度肝を抜かれた。
 
Jeff Tweedyプロデュースの⑤と⑧はテイストは違うけれど好作。ギターのフレーズ、音作りにJeffのこだわりを感じ、Wilcoと共に彼のプロデュース作品にも注目していきたい。
 
⑦は新人らしからぬ曲のクオリティーとアレンジで注目。LAST HURRAH 2.0でも紹介されたので、是非、読んでほしい。
 
レーベルで言えば、17年はNew West Recordsの活躍が目立ったな~と。いいアルバムを立て続けに出してくれた。
 
そしてTom Petty含め、17年も悲報が続いたけれどTomの最後のツアーを見られたことは本当に良かった…と思った17年でした。
 
18年はFirst Aid Kitの新作、そしてVan WilliamとPearl Charlesのデビュー・フル・アルバムが楽しみです!
 
 
 
 
 
【“アラバマ・ブーム”の一方でガツンと来るバンドが少なかった】
by 山口 智男
 
 
Caletyson
■ Careless Soul / Cale Tyson (At Last)
 
 
Curtisharding
■ Face Your Fear / Curtis Harding (Anti-)
 
 
Thedeslondes
■ Hurry Home / The Deslondes (New West)
 
 
Dorifreeman
■ Letters Never Read / Dori Freeman (Blue Hens Music)
 
 
Jakebugg
■ Hearts That Strain / Jake Bugg (Virgin)
 
 
Johnmoreland
■ Big Bad Luv / John Moreland (4AD)
 
 
Lilliemae
■ Forever And Then Some / Lillie Mae (Thirdman)
 
 
Michaelchapman
■ 50 / Michael Chapman (Paradise of Bachelors)
 
 
Porter
■ Don't Go baby It's Gonna Get Weird Without You / Porter & The Bluebonnet Rattlesnakes (Cornelius Chapel)
 
 
Robertfinley
■ Goin' Platinum! / Robert Finley (Easy Eye Sound)
(アルファベット順)
 
FAMEスタジオに詣でたCale Tysonをはじめ、振り返ってみれば、17年は“アラバマ産”の作品に惹かれるものが多かった。そんな“アラバマ・ブーム”は、まだまだ続きそうだ。
 
個人的なものとは言え、毎年、何かしらブームが生まれるのは、それだけシーンが盛んということだろう。10枚を選びながら、泣く泣く落とした作品は少なくない。
 
唯一残念だったのは、個人的にガツンと来るバンドが少なかったこと。
 
自分で選んだ10枚を見返して、ソロ・アーティストの作品ばかりが並んでいることに、こんなにバンドが好きなのに…とちょっと唖然。ダントツで良かったThe Deslondesの他は、Lee Bains III +The Glory Firesと、アルバムを2枚、同時リリースして、気を吐いたDeer Tickぐらいか。Dan AuerbachもIan Feliceもソロ名義だった。
 
18年は、もっとバンド勢に、おおっと言わせてもらいたい。
 
 
 
 
 
 
 

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LAST HURRAH 2.0 presents Best 10 albums 2017

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昨年にひきつづき、ルーツ・ロック~アメリカーナをテーマに(でも、そこはゆる~く)2017年のベスト・アルバムを10枚ずつ選んでみたところ、今年もまた、他にはないおもしろいベスト10になりました。
 
 
 
 
【まだまだある。エンドレスで挙げられるほど豊作だった17年】
by 早川 哲也
 
 
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■ After You’ve Gone / Legendary Shack Shakers (Last Chance)
 
 
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■ Tigre-Teigne / Le Skeleton Band (Head)
 
 
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■ Boy In A Well / The Yawpers (Bloodshot)
 
 
Scotthbiram
■ The Bad Testament / Scott H. Biram (Bloodshot)
 
 
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■ Songs Of Love And Death / Me And That Man (Cooking Vinyl)
 
 
Nikkilane
■ Highway Queen / Nikki Lane (New West)
 
 
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■ Sunnyside / Jake La Botz (Hi-Style)
 
 
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■ A Girl Like You / Emanuela Hutter (Emanuela Hutter)
 
 
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■ Gilded / Jade Jackson (Anti-)
 
 
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■ Bad Hombre / Bob Wayne (People Like You)
 
(順不同)
 
 
昨年同様にアメリカーナ枠内ギリギリなモノも混じっているが、ルーツ系から選んだ10枚。
 
他にEarle親子それぞれの新作、The Sadies、Coco Hames、Bash & Pop、JD Mcpherson、Dan Auerbach、Kitty, Daisy & Lewis、Lillie Mae、Margo Price、Eric Ambel、Imelda May、Old 97's、The Builders and the Butchers、Guadalupe Plata、Low Cut Connie …。
 
まだまだあるなぁ。振り返れば、ルーツ系は豊作だった17年。
 
18年はLAST HURRAAH 2.0でも取り上げたEasy Eye Sound作品に期待。
 
嗚呼エンドレス…。
 
 
 
 
【平和や平等のために立ち向かい、闘っているような女性の姿に胸を打たれた】
by 堀口 知江(ホリグチ チエ)
 
 
Scotthbiram_2
■ The Bad Testament / Scott H. Biram (Bloodshot)
 
 
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■ Spades and Roses / Caroline Spence (Tone Tree Music)
 
 
Old
■ Graveyard Whistling / Old 97's (ATO)
 
 
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■ After You've Gone / Legendary Shack Shakers (Last Chance)
 
 
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■ Freedom Highway / Rhiannon Giddens (Nonesuch)
 
 
Hurray
■ The Navigator / Hurray for the Riff Raff (ATO)
 
 
Nikkilane_2
■ Highway Queen / Nikki Lane (New West)
 
 
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■ Ivory Castanets / Cat Clyde (Cinematic)
 
 
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■ You Don't Own Me Anymore / The Secret Sisters (New West)
 
 
Unnamed
■ Sidelong / Sarah Shook & the Disarmers (Bloodshot)
(順不同)
 
 
Rhiannon GiddensやHurray for the Riff Raffのように、平和や平等のために立ち向かい、闘っているような女性の姿に胸を打たれました。
 
中でもRhiannon Giddensの「You can take my body, you can take my bones / You can take my blood but not my soul」というフレーズは印象的で、いまの米国社会の動きを象徴しているように感じ取りました。
 
女性アーティストが多くなってしまいましたが、Justin Townes EarleやSammy Brue、Dan Auerbachも良かったです。あとLillie Maeも!
 
18年はRuby BootsやJD Wilkesのリリースが楽しみです!
 
 
 
 

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あけましておめでとうございます

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無事、新年を迎えることができました。
 
 
 
 

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2018年はこれを聴く! DAN AUERBACHと彼のレーベル、EASY EYE SOUNDの新展開に注目!

Danauerbach

 
 
ミュージシャンとして活躍するかたわら、いつ休んでいるの?!と不思議になるくらいプロデューサー業、スタジオ経営にも精を出すダン・オーバックがそれだけでは飽き足らないと言わんばかりに今度は、所属レーベルであるノンサッチで自分のレーベルを始めてしまった。
 
レーベル名は、ナッシュビルにある彼のスタジオの名前と同じEasy Eye Sound。ここを拠点に自分がかっこいいと思う音楽を送り出していこうと考えているのだろう。
 
レーベルとしてのEasy Eye Soundのリリース第1弾は、今年6月にリリースした自身のソロ・アルバム『Waiting On A Song』(EES-001)。
 
 
 
Danauerbach_2 Waiting On A Song / Dan Auerbach
 
 
 
 
 
それから6か月、12月8日には昨年、63歳でミシシッピのレーベル、Big Legal Messから『Age Don't Mean A Thing』でデビューしたブルース/R&Bのシンガー・ソングライター/ギタリスト、ロバート・フィンリーによる2作目のアルバム『Goin' Platinum!』(EES-002)を、ダン自らのプロデュースでリリースした。
 
 
Robert_finley_goin_platinum_ees_0 Goin' Platinum! / Robert Finley
 
 
これが素晴らしい作品だった。
 
ダンはロバートの歌をもっと多くの人に聴いてほしいと考えたのだろう。Big Legal Messのヘッドであるブルース・ワトソンとジンボ・マサスがプロデュースした前作のサザン・ソウル路線を受け継いだうえで、新たに女性コーラスを巧みに使ったキャッチーなアレジを加え、彼の歌をより多くのリスナーにアピールできるものにしたのは、まちがいなくダンの手腕だ。
 
 
 
 
正直、ダンのプロデュースワークは、ハマる時とハマらない時があると思うのだが、『Goin' Platinum!』は見事にハマった。ダンのソロ同様にポジティヴなヴァイブに満ち溢れているようなところもいい。
 
Easy Eye Soundの今後のリリースががぜん楽しみになってきた。
 
すでにEasy Eye Soundのウェブサイトでは、シャノン&ザ・クラムスの『Onion』、ソニー・スミスの『Rod For Your Love』という2月、3月のリリースが発表されている(その後、4月にはリンク・レイの未発表曲「Son of Rumble (/Whole Lotta Talking)」を7インチ・シングルとしてリリースする)。
 
 
 
Shannonandtheclamsonion1200_2 Onion / Shannon & The Clams
 
 
Sonny_smith_rod_for_your_love_0c260 Rod For Your Love / Sonny Smith
 
 
シャノン&ザ・クラムスは、オールディーズな魅力もあるオークランドのガレージ・パンク4人組。『Onion』はすでに8年ほどの活動歴を持つ彼らの5作目のアルバムとなる。
 
 
 
 
ソニー・スミスは、サンフランシスコのシンガー・ソングライター。その活動は90年代の半ばまで遡ることができるらしい。07年にはサンフランシスコのインディー・シーンのミュージシャン達とローファイ・ガレージ・バンド、ソニー&ザ・サンセッツを組んで、多くの作品をリリースしてきた。
 
 
 
 
『Onion』『Rod For Your Love』ともにダンによるプロデュース。
 
ベイエリアのインディー~ガレージ・シーンに急接近した新たなコネクションが興味深い。
 
それが今後、どんな活動につながるのか、ジャック・ホワイトのサード・マンに負けないものになるのかという興味も含め、ダンとEasy Eye Soundの動きに注目していきたい。
 
ダンは2月10日のヴァンクーバー公演を皮切りに「Dan Auerbach & the Easy Eye Sound Revue」と銘打ち、ロバート・フィンリー、シャノン&ザ・クラムスらと4月5日のデンヴァー公演まで北米各地をツアーする予定だ。
 
 

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やっと出会えたと思ったら、もうこの世にいなかったなんて、あまりにも寂しすぎるじゃないか。PORTER & THE BLUEBONNET RATTLESNAKESが遺した渾身の1枚

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2016年10月19日、ノース・カロライナ州スミスフィールドにほど近い州間高速道路で3人のミュージシャンを乗せたヴァンが後ろから猛スピードで走ってきた大型トラックに追突されるという大事故が起きた。
 
3人のミュージシャンの内、クリス・ポーター(Vo, G)とミッチェル・ヴァンダーバーグ(B)は絶命。もう一人のアダム・ナーリー(Dr)も一命は取り留めたものの、重傷を負った。
 
前夜、サウス・カロライナ州チャールストンで演奏した3人は、次の公演地であるメリーランド州ボルチモアに向かうところだったという。
 
それから約1年が過ぎた2017年11月、アラバマのインディ・レーベル、コーネリアス・チャペルがリリースしたポーター&ザ・ブルーボネット・ラトルスネークスの『Don’t Go Baby It’s Gonna Get Weird Without You』というアルバムがアメリカン・ロックのファンの間で話題になった。
 
 
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Don't Go Baby It's Gonna Get Weird Without You (Cornelius Chapel)
 
 
その『Don’t Go Baby It’s Gonna Get Weird Without You』はスミスフィールドの追突事故で亡くなったクリス・ポーターが事故に遭う8か月前、腕っこきのミュージシャン達と作り上げた渾身の1枚だったのだ――。
 
80年にアラバマ州ペル・シティーで生まれたクリス・ポーターは、チャンスを掴もうとやってきたアラバマ州最大の都市、バーミングハムで本格的に音楽活動を始めたという。それが02年。それからクリス・ポーター&ザ・ストールン・ローゼズを皮切りにバック・ロウ・バプティスツ、サム・ダーク・ホラーというバンドも結成。バック・ロウ・バプティスツ、サム・ダーク・ホラーでは、それぞれに『Broken Hearts & Bad Decisions』(10年)、『Hollow Chest』(12年)というアルバムもリリースしている。
 
その後、ソロに転じて、13年にはジョン・ポール・ホワイトのレーベル、シングル・ロックに所属しているバンド、ザ・ポリーズとポーター&ザ・ポリーズ名義でデジタル・オンリーのEPをリリース。
 
 
 
 
 
 
そして、14年に新天地を求め、バーミングハムから移り住んだテキサス州オースティンでセントロ・マティックの元メンバー、ウィル・ジョンソンの協力の下、ソロ名義のアルバム『This Red Mountain』をレコーディング。それを15年にリリースしたところ、ポーターの存在はにわかに注目され始め、その追い風を感じながらポーターが再びウィルと組んで作ったのが、『Don’t Go Baby It’s Gonna Get Weird Without You』だったのだ。
 
『This Red Mountain』の反響に手応えを感じたのだろう。『Don’t Go Baby It’s Gonna Get Weird Without You』を作るにあたって、ポーターとウィルはレコーディングのメンバーを一新。“アメリカの実生活のダークで絶望した物語”を歌うポーターの評判を全国区のものにするのにふさわしいミュージシャンを、オースティンのランブル・クリーク・スタジオに招いた。 
 
その顔ぶれは――。 
 
人気急上昇中のシンガー・ソングライター、ジョン・モアランドのサイドマンとしても注目されているシンガー・ソングライター兼マルチプレイヤー、ジョン・カルヴィン・アブニー(ギター、キーボード、アコーディオン、ペダル・スティール他)。新世代サザン・ロックの旗手、ドライヴ・バイ・トラッカーズの元メンバー、ショナ・タッカー(ベース、ハーモニー・ヴォーカル)。ドラムはプロデューサーを務めたウィルが自ら演奏した。
 
アメリカン・ロックを熱心に聴いているリスナーなら、思わず「おおっ」と身を乗り出すにちがいないミュージシャン達が奏でるのは、カントリーやブルース~ブギの影響を滲ませながら、たっぷりと歪みも含んだルーツィーなロック・サウンドだ。
 
00年代前半だったらオルタナ・カントリーと言われていただろう。中にはシンセサイザーも使って、アンビエントなサウンドを意識した曲もある。
 
ザクザク・ギュインギュインと鳴るバンドの演奏、そして、たそがれた味わいとならず者っぽい荒々しさが絶妙に入り混じるポーターの嗄れ声から筆者が連想したのは、ルセロ、ドライヴ・バイ・トラッカーズ、リッチモンド・フォンテーン、ライアン・アダムスら、オルタナ・カントリー・ブームとともに注目されたバンドばかりだった。アルバムを締めくくる「East December」からはリプレイスメンツも思い出した。
 
 
 
 
 
もちろん、新しい音楽とは言えない。むしろ、懐かしいと言ったほうがふさわしいかもしれない。しかし、こういう音楽を求めているリスナーは決して少なくない。
 
作品のクオリティーを考えても、『Don’t Go Baby It’s Gonna Get Weird Without You』はポーターにとって大きな転機になるはずだった。実際、前作以上に評判になっている。
 
享年36歳というあまりにも早すぎる死が惜しまれる。ポーター自身も悔しかったことだろう。
 
やっと出会えたと思ったら、もうこの世にいなかったなんて、あまりにも寂しすぎるじゃないか。
 
しかし、作品は残る。その魅力を伝えることでポーターのことを一人でも多くの人が知ってくれたら、彼の無念も少しは晴れるんじゃないか。そんなことを願って、『Don’t Go Baby It’s Gonna Get Weird Without You』を大音量で聴いている。
 
 
 

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THE FELICE BROTHERSにまつわるジレンマ

Felicebrothers_3                                         THE FELICE BROTHERS w/ Conor Oberst & Jim Keltner

 
 
アメリカーナなロックンロール・バンド、フェリース・ブラザーズのフロントマン、イアン・フェリースが8月にリリースしたソロ・アルバム『In the Kingdom of Dreams』に対する僕の興味は初め、09年にバンドを離れたドラマー、サイモン・フェリースによるプロデュースであることと、そのサイモンがドラムもプレイしたことで、グレッグ・ファーリー(フィドル)抜きとは言え、フェリース・ブラザーズのオリジナル・ラインナップのリユニオンが実現したことに向いていた。
 
 
 
Inthekingdomofdreams_2
In the Kingdom of Dreams / Ian Felice (Loose)
 
 
 
サイモンが抜けてからバンドにふさわしいドラマーに出会えずにいるフェリース・ブラザーズに若干の物足りなさを感じていた僕は、イアンのソロではあるけれど、ひょっとしたらサイモンがいた頃のフェリース・ブラザーズが蘇るようなアルバムになっているんじゃないかと期待していたわけだ。常日頃、バンドに所属しているミュージシャンがソロ活動することに不寛容な態度を取っているくせに虫が良すぎると自分でも思いながら――。
 
しかし、『In the Kingdom of Dreams』は実にソロ・アルバムらしいソロ・アルバムだった。
 
アコースティック・ギター、バンジョー、あるいはピアノの弾き語りに若干の演奏を加えた曲の数々が持つ内省的な空気と音数をとことん絞った演奏が生む緊張感は明らかにバンドのサウンドとは違うものだ。これならソロ・アルバムをリリースする意味もある。最初は、ほっとしたような、ちょっと残念だったような複雑な気持ちになったが、ためのきいたサイモンのドラムを久しぶりに聴けたのもうれしかった。
 
バンドのアルバムと比べて、勝るとも劣らない聴きごたえが楽しめる、いや、イアンの歌の魅力が際立っているという意味では、バンドのアルバムよりも味わい深い、か。
 
ラストの「In the Final Reckoning」はエレピで弾き語るメランコリックなバラードだが、イアンの作詞・作曲にもかかわらず、どこかサイモンのソロを髣髴させるところがおもしろい。
 
ところで、サイモンを含むフェリース・ブラザーズのオリジナル・ラインナップのリユニオンは、実は10年と11月の6月にニューヨーク・シティーの北に位置するハドソン川沿いの小さな町、クロトン・オン・ハドソンで開催されたフェスティバル、Clearwater's GREAT Hudson River Revivalにフェリース・ブラザーズが出演したとき、サイモンが彼らのステージに飛び入りする形で実現している。
 
 
 
 
 
また、15年4月には、サイモンが同月の23日~26日の4日間、ニューヨーク州ウッドストックにあるアップルヘッド・スタジオで行ったライヴでイアン(ギター)、ジェームズ・フェリース(オルガン、ピアノ、アコーディオン)、クリスマスことジョシュ・ロウソン(ベース)、そしてグレッグ・ファーリーら、フェリース・ブラザーズのメンバーが演奏を務め、ファンを喜ばせた。この時、サイモンはソロ名義で発表した曲の数々に加え、フェリース・ブラザーズ時代にリード・ヴォーカルを務めていた「Don’t Wake The Scarecrow」「Radio Song」も歌ったのだった。
 
その時の模様は、15年10月(?)に2枚組のライヴ・アルバム『From the Violent Banks of the Kaaterskill』としてリリースされた。
 
 
 
Fromtheviolentbanks_2
From the Violent Banks of the Kaaterskill / Simone Felice (Mighty Hudson)
 
 
 
それがすごい。
 
サイモンのソングライティングとヴォーカリストとしての力量を存分にアピールだけに止まらず、メランコリックなメロディーを歌い上げるサイモンの凄味のある歌に応えるようにフェリース・ブラザーズのメンバー達も気迫に満ちたソリッドな演奏を繰り広げている。
 
それを聴きながら、今のフェリース・ブラザーズには、その気迫や前述した緊張感がちょっと足りないんじゃないか、と思ったり、慌てて、いやいやいや、むしろたとえ主人公が野垂れ死んでしまう曲を歌っても決してペシミスティックにならないところこそが、フェリース・ブラザーズの本当の魅力なんじゃないか。コナー・オバーストが『Salutations』でバック・バンドに起用したフェリース・ブラザーズに求めたものも、きっとそれだったはず、と思ったり――。
 
ともあれ、タイトルとは裏腹にギャング風(と言うか、西部開拓時代のならず者風と言うか)の賑やかさを、これまで以上に打ち出した16年発表の『Life in the Dark』は、そんなフェリース・ブラザーズのベストと言ってもいいかもしれない。
 
 
 
 
 
 
 
 
Saltations
Salutations / Conor Oberst (Nonesuch)
 
 
Lifeinthedark
Life in the Dark / THE FELICE BROTHERS (Yep Roc)
 
 
 
しかし、その一方では、すでに書いたように……。
 
フェリース・ブラザーズのオリジナル・ラインナップのリユニオンが実現するたび、僕はそんなジレンマに悩まされるのだった。

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ニューオーリンズの5人組、THE DESLONDESのメンバー、SAM DOORESはなかなかの男前なのだった

Thedeslones

 
 
今年6月にリリースした2ndアルバム『Hurray Home』が素晴らしかったニューオーリンズの5人組、ザ・デズロンズ のことを、ここ日本でももうちょっと多くの人に知ってもらいたいと思って、何かいい紹介のしかたはないだろうかといろいろ調べていたら、メンバーの一人、サム・ドアーズ(写真中央)がかつて、ハレイ・フォー・ザ・リフ・ラフことアリンダ・リー・セガーラと恋人関係にあったという記述を、イギリスの音楽誌、UNCUTの記事の中に見つけた。
 
デズロンズの前身バンド、タンブルウィーズ結成以前にサムがアリンダとともにブロークン・ウィング・ルーティーンやサンダウン・ソングスというグループで活動していたことも、14年頃までハレイ・フォー・ザ・リフ・ラフにメンバーとして参加していたことも知っていたが、まさか2人がそういう関係だったとは想像もしていなかった。
 
 
 
サムを含め、当時メンバーだったデズロンズの3人がハーモニーを加えている。 
 
 
 
へえ。ほぉ。だって、ねぇ。
 
自らもそういう立場であることを踏まえたうえで、アメリカにおけるさまざまなマイノリティーの権利を主張しながら、前へ進め!と訴える今風に言えば、それこそ男前のアリンダねえさんを魅了するんだから、サム・ドアーズという男もまた、度量の広さや気っ風の良さと言った意味も含め、なかなかの男前にちがいない。
 
そのサムは現在、ポニー・ハント名義で活動している女性シンガー・ソングライター、ジェシー・アントニックとつきあっているらしい。本人に確かめたわけではない。しかし、ネット上で見つけることができる2人の写真から、それは間違いなさそうだ。
 
ポニー・ハントが昨年10月にリリースしたデビュー・アルバム『Heart Creak』はサムの協力の下、当時、ジェシーが住んでいたオークランドとサムがいるニューオーリンズを行ったり来たりしながら完成させたそうだが、そのジェシーは現在、ニューオーリンズ在住。
 
 
 
 
 
 
ほぉ。へえ。
 
ヨーロッパを一人でツアーするなど、サムはデズロンズのメンバーの中で最も意欲的にソロ活動に取り組んでいる。全米各地からニューオーリンズにやってきた5人のソングライター兼マルチ・プレイヤー達による極めてデモクラティックなデズロンズだけでは、才気あふれるサムは満足できないのかもしれない。
 
デズロンズ、ソロ、ポニー・ハントのサポートに加え、最近ではニューオーリンズのガレージ・ゴスペル・バンド、ジャクソン&ザ・ジャンクスにも参加しているようだ。
 
そんなふうに精力的に音楽活動に取り組みながら仲間のミュージシャンを献身的にサポートすることを惜しまないところまた、彼が男前たる理由の一つなのかもしれない。
 
どうだろう。そんなサム・ドアーズを擁するデズロンズに興味を持っていただけただろうか?
 
 
 
 
 
 
前述した『Hurray Home』は、カントリーとリズム&ブルースを掛け合わせるだけに止まらず、フォークやジャズのエッセンスも取り入れるデズロンズのサウンドがさらに広がったことを印象づける意欲作だ。新たにラテン・ミュージック、テックス・メックス、ブルース、ロカビリーのエッセンスを加えたうえで、エレクトリック・ギターが前作以上にガレージ・ロック風にバリバリと鳴っているところがかっこいい。まるで、のほほんとレイドバックしているだけが俺達じゃないぜと言わんばかりだ。
 
立ったままバスドラムをキックしながら、手に持ったスネアをバシッ、バシッと叩くキャメロン・スナイダーのドラム・プレイが、そんなデスロンズ・サウンドのキモになっていることは疑いようもないが、それについてはまた次の機会に書いてみたい。
 
 
 
 
Hurryhome
Hurry Home (New West)

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